新しい風ニュース NO143
やまがたの環境とくらしを考える会 (通巻176)
岐阜県山県市西深瀬208 TEL/FAX 0581-22−4989
なんでも相談 どの政党とも無関係の 寺町
ともまさ
E-mail tera-t@ktroad.ne.jp 2004年3月6日
新年度の予算が公表され、2月28日の新聞朝刊に掲載されましたので、早速、担当課に聞いてみました。まずは、25億円とされた光ケーブルのこと。
インターネットの市のHPでも、予算案の概要などもすぐに紹介されています。
高富の有線TVが、伊自良・美山に拡大
【光ファイバーとは】
光によって情報を伝達するケーブルのこと。髪の毛のように細いケーブルの中に、屈折率の異なる物質を何層にも組み合わせ、そこを光が屈折して進むことで信号を伝える仕組み。光ファイバーには、テレビ映像、コンピューター用のデータ、音声通信(電話)などの情報を流すことが可能で、高速かつ常時接続のネットワーク環境が手に入る。
●加入すると、高富地域のCATVと同様のチャンネルが視聴できる。
NHKは3と9CH、民放は1、5、11、35、37CH、衛星第1、2放送、市の自主放送(NHK視聴料などは今までどおり)
光通信もIP電話も同時にスタート
●さらに、光ファイバーだから新たに可能になるサービス(任意加入制)●
●(1) インターネット通信
光ケーブルの通信速度は30M程度を考えている。現在のダイヤルアップ、ADSLなどよりはるかに高速。30M以下の範囲を何パターンかの選択肢とする方向(利用料に差はつく)。どれにするかの選択は加入者の自由だが、市のケーブルを利用するのだから市との新規契約が必要。何時間接続しても定額だが、接続料(利用料/月額)については、今の民間よりは安くしたいとの意向。
●(2)「IP電話」=市内の加入者どうしの電話はすべて無料 という電話があらたに実現する(各自の現在のNTT回線の電話と料金はそのまま)。
●(3)WOWOWやスターチャンネルさらに有料の「多チャンネル」も可能 になる。それぞれの業者と所定の料金で個別に契約する。
来年夏が目標! 費用は32億円!
●市内全域に光ファイバーを敷設する市の総予算は32億9449万円。
おおよその財源見込みは合併特例債21億円、過疎債9億万円、その他3億円。
●事業の進行
《初年度=04年(H16年)度》
幹線(150〜200軒もしくはある程度の集落)まで光ケーブルを張る(電柱共架)。予算25億4641万円。
《第2年度=05年(H17年)度》 (来年)夏ごろ。
幹線からその先の地域まで同軸ケーブルを引く。同時に「道路の公共の光ケーブル」から「加入者の軒先」までのケーブル配線工事を実施。予算7億4858万円。
●高富地域での切り替え
→ 高富地域で現在稼働しているCATVも、《第2年度》の夏の全市供用開始と同時に一斉に切り替える。
●加入は希望制。 初年度中頃に共聴組合単位(美山21、伊自良3)で説明会。
加入の申し込み・受付は、全市とも新年度の秋か冬までには行う。
現在の高富地域のCATVのテレビの視聴料(利用料)は毎月500円。
全市、今と同額の月額500円で行く見込み(地域差はあり得ない)。
@高富地域の現在のCATV加入者 →加入金は既に払っているから不要
A美山、伊自良地域の新規加入者 →加入金は5万2500円
B旧高富町地区の新規加入者 →加入金は5万2500円
利用者・市民の立場で見ると?
《問1》高富地域の現在のCATV加入者には、新たな負担はあるか(@の人)
→テレビを見るだけなら新たな負担はなし(毎月の視聴料はいる)。
《問2》美山、伊自良=新規加入者と高富の新規加入者は(ABの人)
→テレビだけなら加入金と軒先から自宅内のテレビ線工事費(m数で変わる)
《問3》インターネットで高速通信を利用したい人は
→軒先から自宅内の同軸ケーブルの工事費(m数で変わる)と毎月定額の接続料(利用料)とモデムが必要(モデムを無償貸与するか有料かは未定)。
《問4》「市内の加入者どうしの電話はすべて無料」の電話を利用したい人は
→「IP電話」を実施する。モデムが必要(無償貸与か有料かは未定)。
《問−5》2011年中には、全国のテレビがすべてデジタル放送に変わるが
→その対応もできるよう今回の計画がある。
《問−6》テレビだけ全市に拡大するとしたら、幾らぐらい必要か
→同軸ケーブルで可能だが、費用は光ケーブルとあまり変わらない。
《問−7》高富の有線テレビは月額500円の視聴料で、およそ年間3000万円程度の赤字だった。
光ファイバーを導入して、新たなシステムの維持経費は年間幾らくらい?
市がプロバイダー的な役割(いわば、中継業)をする訳だが、市が外部に接続する料金は年に幾らくらいを見積もっているのか?
→まだ、試行錯誤で検討していて、いずれもよく分からない。
2月28日 中日
目的や計画があってこそ、意味がある
【寺町のコメント−1】
ITの基盤整備は、以前から批判の多い「ハコもの」や大型土木事業と同じ要素があります。「情報伝達の道路」を作るだけではほとんど意味がない。このように使いたい、このようなことが可能になる媒体がほしい、だから光ファイバーを配備しよう、という目的や計画があって初めて、意味がでてくる。しかし、今回は、まず、光ファイバーありき。
これほどの予算を一気につける。市民一人当たり10万円の将来への負担。
それに見合うだけの活用をする意欲が市にあるかどうかが問われます。
例えば、富山県山田村は、全戸にパソコン、インターネットの普及を進めてきたことで有名。山奥でお年よりも多いのですが、8年ほど前から、回線を整備し、9割の世帯にパソコンを貸与するなどし、いろんなまちづくりを村民主体で進め、今年からは光ファイバーでのテレビやインターネット、電話を開始。電脳の村、といわれています。
さて、山県市は? あなたのご意見はいかがですか?
あまりに、高すぎる
【寺町のコメント−2】
今や、インターネットの各種技術は日夜進み、何もかも価格が下がっています。今回、現時点で的確な見積もりの予算措置か極めて疑問。高額の予算を通したら、最終的には、落札額も高くなります。
高富町長汚職事件の判決では、建設業者は「建物の設計業者」に情報をもらって予定価格を予想したとの指摘。「有線テレビ施設整備事業」で光ファイバーの事業設計を契約した業者は8月29日の入札で「日本農村情報システム協会」、当初は12月25日に納入だったのが、遅れてまだ未納。
旧高富町行政に関して「高富は好きにとられている(業者に高く落札されてい
る、高く買わされているとの意味)」という関係者は少なくなかったし、県職員がそういうのを聞いた、という人の話しも最近聞きました。
新市になった今、ビシッと厳正、適正な価格を導いて、さらに公正な入札という競争原理にかける、そういう姿勢は不可欠。とくにこのように、短期間に高額でいくことはなおさら。一般競争入札は当然。
私は、入札の仕様書等を専門家にみてもらって検証しようと思います。
インターネットは不可欠
【寺町のコメント−3】
今や、オフィスに行かなくて遠くの自宅にいても仕事ができる、そういうライフスタイルが始まりつつある時代。時間と距離を越えるには、インターネットは重要な手段。インターネットを個人で利用する人、企業の情報の発信や収集には大きなメリット。さらに発展的な利用が広がる。若者にも受け入れられる。Uターン、Iターンも進む。
10年前、携帯電話も含めて通信技術やコンピューター化がここまで広く早く進むとは誰も予想しませんでした。この観点で、5年後10年後、さらにその後を展望すれば、決断は必要です。単に道路を造ることとは違います。
【美山、伊自良への拡大は必要か】
現在、通常のテレビはどこでも、ある程度は写るからともかく、高富で流されている市の自主放送、議会放送はそれなりに好評で、市民の意識を高めているので、拡大の意義はある。インターネットの高速通信は(西深瀬の北の端である私の地域では、不十分な速度ながらも恩恵を受けている程度)、美山や伊自良への拡大は必要です。
あまりに、準備不足
【寺町のまとめ】
私は、調べごとの多くをインターネットで済ませます。書物よりずっと早いし簡単でしかも最新。インターネットは欠かせません。
今までは、政治のボスや一部の有力者らが取り仕切っていた地域社会、これは地理とか距離、道路、地縁血縁、利権などが基本にあります。
インターネットは、これらさまざまな障壁を飛び越す力があります。
地理や距離に関係のない新しい意識の共有、交換、人間関係などが可能です。事業だけでなく、市民活動でも、体に障がいがあっても、車にのれなくても、交流や共感が生まれる可能性がある、それがインターネットです。新しい時代の新しい手段。ここに、息を吹きこんでみんなが生き生きとしてくる、そんな将来が描けるなら、20億を越えるお金であっても有意義な投資ではないでしょうか。
お年よりも含めて自分たちも使う、そして若者たち、こどもたちに残してもいい有効なものだと思います。
しかし、いま・・・どこまで、市がそれを自覚しているのか。
市長や議員の皆さんは、どの程度、インターネットをするのでしょうか?
私は、光ファイバーを導入するということ自体は基本的には賛成です。
ただ、このままでは、
@土木工事と同様の域をぬけ出ない、
A高額な予算を提案してしまった、
B供用開始後の維持費用等(=その後の市の財政負担)が一体どれくらいか予想できない、
C通常、計画立案は、市民参加、委員会などで相談していくのに、この計画はすべて業者まかせ、など、大きな問題を含んでいます。
D行政の将来計画の有無、市民参加の有無、利用形態の展望、
E説明責任、これらいずれの点でも極めて不十分。
この予算、足元を固めてから出し直す必要があるのでは?