新しい風ニュース  85号(通巻117号)
 たかとみの環境とくらしを考える会
  岐阜県山県郡高富町西深瀬208  TEL・FAX 0581-22-4989
《なんでも相談》 どの政党とも無関係の  寺町 ともまさ
           発行 1997年5月24日

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 今回の町長汚職事件、これは氷山の一角で、かなり根が深いようです。当初、金銭授受を認めながら、後に否認を始めた事で、捜査当局も反発、かなり広範囲に調べを進めているようです。新庁舎建設や町内の大型公共事業にも視野を広めている、今週になっても、役場の幹部関係者らが順次、当局に呼ばれているとも。 


     振り返ってみると
 95年10月、私が議員に就かせていただいてから、約1年半です。
この間、自らの反省も込めて、私から見た鷲見町長の特徴を、幾つか要約してみます。皆さんも、こんなときですから、町長像を考えください。


     ◆ 議会との関係
 例えば、私が町長に「議会議事録も町民の皆さんが読めるように公民館等にも置くこと」を提案すると、当初は「O,K」と答えていました。しかし、後に、議会の多数派が「そんなことはしなくていい」という立場を取ったことで、「議会の判断に任せるしかない」と後退。議会議事録を作成し公開することは、議会の役割ですが、議事録を複製・配布・配置することは行政側の決めることです。CATVで議会放映までしながら・・・


    ◆ 情報公開条例を
 95年12月「情報公開条例を早く作ろう」と提案すると、町長は「新庁舎ができ、文書管理も整理・徹底できるので、1〜2年後に実施したい」と答えました。それが、97年3月には「県内の半分位の市町村が実施してから」「情報の公開は慎重に」というように変わって来ました。これは、役場内部の「情報を公開することの繁雑さ、そして公開によってもたらされることへの不安、危惧や圧迫感」を主張する意見を取り入れたものです。
 例えば、御嵩の柳川町長は、「情報を隠し持っておこうと思うと、いろいろ気を使わなければならず、とっても大変なこと。情報は全て住民に提供して、後は住民に考え、判断してもらえばいい。その代わり、住民は、しっかり責任を持って考えなければいけない」と話しています。


     ◆ 決算を9月に
 決算の反省が新年度の事業に反映させるため、9月議会での決算審議が必要です。私は95年12月に続いて、96年6月議会前にもう一度、早急に実施するように町長に提案しました。後日、町長から「一人でよく考えみた。寺町さんの言う通りだ。『今年から9月決算にする』と答える」と胸を張りながら返事がありました。しかし、議会最終日「9月に間に合わせるのは、準備の都合等で(今年だけでなく)難しい」という答弁に豹変しました。
 これは、役場内部の一部の強い否定論に負けてしまったものです。


     ◆ 今年の3月議会後・・・
 今年の3月議会が終わり、新年度予算が決まってから、町長と話したときのこと。「この1年半、鷲見さんをみていると、2年目になって、やるつもりのこと、やろうと言ったことが、無しになったり、後退していっている。そんなことで、あと2年、ちゃんとやっていけるのか心配だ」と、私は発奮を期待するつもりで言いました。町長は「それは分かっとるけど、仕方がないんやて。いろいろあって・・・」との返事。「役場や議会の一部の声に操られていてはダメ。選挙で出た以上、『自分はこうする』と、しっかり主張を持ってやっていかないと、有権者に申し訳ないよ」と私。さらに、町長の本音が・・・
  (・・・・・事件で、これが、私と“町長”との最後の会話となりました)  これらから見えてくる「姿」がどのようかは、皆さんの想像にお任せします。
 望まれる町長像とは、当初、自らの政策であったかどうかにかかわらず「真に良いと判断した政策」は実現に邁進する、それがトップではないでしょうか。


 街から・・・・消費税 便乗値上げ?
 《声》 消費税が3%から5%に上がった。町の指定ゴミ袋は税込みで500円だったはずだが、500円に税として5%をかけて売っているところがある。便乗値上げではないか?

 《役場に聞くと》 現在、29店舗が、町と毎年販売契約を結んでいて一袋当「税込みで大50円、小35円」となっている。小売段階では10枚当、大は「476円(477円)(税別)」か「500円(税込)」になっているはず。便乗値上げであるなら、放置しておけません。もちろん、一袋当たり4円という販売手数料(山県郡共通)が1978年(S53)から変わっていないという現状の問題点も指摘・認識されています。


  まちの声から
 ◆【広い意味で政治不信がある。どこかにぶつけたい】
【こんな時に、議員が会 議で何も発言しないなんて。町長を選挙で推薦しておいて、無責任だ。一緒に辞めるべきだ】
【地域の道を造るのが議員、というのはおかしい】
【多くの議員が求めているのは何かを見極め、それを、違う手法(違う人物)でも実現できることを示さないといけない】
【みんな怒っている。心の中では、何とかしなきゃ、と思ってる。でも、町はみんな静かだ】
【他人に変えてもらうことを考えている。自分で変えて行こう、なんて気がない】【カンパします】

・・・  高富町に住む人たちが、いろいろな人間関係、立場、しがらみなどを横に置いて、自分の町を、自分の手で、自分たちの手で何とかしなければと、行動し始めたとき、初めて町は変わっていきます。今、産業廃棄物問題や住民投票で話題を集めている御嵩町の柳川喜郎町長は、2年前の4月に町長に当選しました。保守系町議が全員相手方候補(前助役)につき、柳川さんには町議は誰もついていません。すべて住民の手作りで、仕事を休んで選挙運動に参加した 会社員も多く、中には、銀行員や新聞記者までが5日の休暇をとっての参加、とのこと。私も、選挙期間中に、一度、事務所を訪れました。3ケ月後に実施された町議選では、定員16人のうち、11人が新人に入れ替わりました。住民自身が諦めずに動いたことが、町を変え、粘り強い住民意識を培いました。
 今、私は、町外や県外の人から「当然、町長選挙やるんでしょ」と、皆に言 われます。一昨日は「こんなときに、やらなかったら、存在意味がないよ」とまで。町の人にも「ここでやらなかったら、皆に、他の議員と同じだと見られるよ」という忠告までいただいています。
 でも今の私の意識をおおう2点は、私が議員を辞したら、議会のチェック機能がどうなるのか、という心配であり、そのことの無責任さです。もう一点は、こんなときに立たない、怒らない、爆発しない、おとなしい高富の住民意識への驚きであり、失望です。これは、私にとっては、汚職事件以上のショックです。
 町を変えることができるのは、ひとりひとりの力なのです。 (ともまさ)