逮捕拘留中の給与支出は違法!



◆山崎前高富町長は、02年4月28日より連日県警の事情聴取を受け、5月1日、町の公共事業に関しての収賄容疑で逮捕され、5月22日に岐阜地検により起訴されました。6月4日に高富町議会で辞職の承認を得ました。本人は、7月15日の初公判を経て、やっと翌16日に保釈。このように、逮捕された5月1日以降は実質的に職務=公務についていません。
 そこで、町民の有志は、逮捕・拘留中の給与と期末手当の支給をしないように差し止めの住民監査請求をしました。それらもかかわらず、高富町は給与・期末手当を支給しました。町の見解は、「助役が職務を代理しても、町長の身分は有しているから、支給は違法ではない」というもので、国や県など行政関係者の一致した見解。
 これをくつがえした判決が出ました。

◆02年8月22日、「5月分給与77万円、ボーナス34万円を山崎氏個人が返還すべき」と、住民8名が提訴しました。被告は、逮捕された山崎前町長本人のみ。

◆《私たちの違法性の主張》
◎拘留中は「勤務」といえず、職務代理者も置いたから、給与を支給する根拠がない。

◎拘留も勤務なら、出張の旅費、日当を支給するはずなのに、町は支給していない。

◎条例は「勤務しないときは、減額した給与を支給」と規定している。

◎勤務がないから期末手当も支給でず、条例には不支給及び差止めも決められている。

◎住民の税金を原資とすることからも、社会通念上も、許されない。
◆03年11月26日岐阜地裁判決
 裁判長は、第一回弁論時に、随分調べたがこの種の判例がない、と述べました。そして、和解が勧告され、4回の和解協議の後、最終的に被告が和解を拒否しました。
 判決は、毎月の給与に関して、
 @拘留中は職務を行っていないから条例の規定からして給与77万円を高富町が支出したことは違法、
 A被告は不当利得しているから返還すべき、とし、
 Bボーナスに関しては(給与と比べると)不合理ともいえるが条例の規定上違法とまではいえない、というもの。

◆被告は控訴せず!
 被告側は控訴しませんでした。
 なお、贈収賄刑事事件は、業者側は、指名してもらったことと予定価格を教えてもらったことのお礼であることをすぐに認め、ちょうど1年前に有罪(執行猶予付き)が確定。元町長は、第一回公判で容疑を認めたものの、次回から全面否認に転じ、情状酌量は求めず。検察は教唆がなければ予定価格の99.7%で落札できないことなども示し、求刑は懲役1年6カ月罰金100万円。12月8日に結審し注目の判決は04年2月6日。

◆条例を改正する自治体も!
 福岡県議会は、今回、逮捕拘留中の議員の給与支給を差し止めるよう自ら条例改正。全国の自治体が議員ら非常勤職員と長ら常勤特別職も一般職もすべて、差し止める(嫌疑がはれたら溯って支給する)と、条例改正すればこんな問題はおきません。