選挙公報の実現を !  
ニュース創刊号  2003年10月2 5日
    《発行》 「新しい山県市に選挙公報を実現する会」( 仮称)
            連絡・問合先 寺町と もまさ
              〒501-2112 山県市西深瀬 208
              TEL・FAX 0581-22−4989
          E-mail tera-t@ktroad. ne.jp



新しい山県市で選挙広報発行を目指す
         直接請求の呼びかけ

 今年4月、山県市が誕生しました。合併についてのそれぞれの個人的な考えにかかわらず、旧三町村(高富町、美山町、伊自良村)の住民は、誰もが新しい市で暮らしています。そこで、少しずつでも「新しいまちづくり」を始めよう、ということになりました。その一つとして、新しい市で最初の選挙で、選挙公報の発行を実現する運動を提案します。

 来春(任期満了04年4月30日)が、新しい山県市の議員(定数22人)
の選挙です。選挙の地域について、小選挙区か大選挙区かの激論の末、この夏、
やっと「大選挙区で実施」の基本方向が打ち出されました。岐阜県内で合併の
協議が進められている各協議会では、小選挙区を前提として検討するところが
多い中で、東海地区で先がけて合併した山県市が大選挙区で実施を決めたこと
は、意義深いと考えます。

 ところで、ずっと以前から、有権者のみなさんからは、候補者の政策がわからない、名前の連呼だけでは良くない、などの声がありました。
 このような声に答えるために、「選挙広報」という印刷物が、国政選挙と知事選は公職選挙法に基づき、県議は県条例に基づき発行されています。市町村で発行しているのは、岐阜県内では、10数市町村です。岐阜市は、今年の統一地方選の議員選挙での初めての公報を発行しました。
 また、国政で政党の公約文書であるマニフェストが法制化されました。

 私たちは、新しい市に変わった今がいいタイミングですし、市民の責任としても、新しい市をよりよくするために、選挙公報を発行できるように運動することを呼びかけます。
 方法は、住民が条例案を付けて、有権者の1/50の署名を集めて請求する、「条例制定の直接請求」(地方自治法第74条)を利用します。


選挙公報発行の条例制定の署名運動を始めます 【期間の特例の適用】 各種選挙の期間中は選挙運動との混同や署名の悪用を防止するため、直接請求の署名収集は禁止されます。衆議院解散の場合は、実際の署名集めは、投票日の翌日、11月10日からです。だから、選挙公報の条例を求める手続きのスタートは、11月12〜13日頃にしようと相談しています。それまでに市民の皆さんに、主義主張を越えて、あたらしいまちづくのために「選挙公報の条例づくり」を提案しようと、準備をすすめています。

      あなたも仲間になってください   
 「選挙公報」ってなに? 市長や議員の選挙のときに、候補者全員のかんがえや政策、ひとがらや経歴を書いて、公費で市民の自宅に届くチラシです。
いま国政選挙では「マニフェスト」が注目されていますが、自治体の選挙では「選挙広報」は、市の税金の使い方や政策を決める議員にだれがふさわしいかを市民が選ぶ判断基準になります。今回の衆議院選挙の「選挙公報」は、11月3〜4日頃に市民の元に届く予定です。「選挙公報とはこういうものか」と実感できる絶好のタイミング。いままでなにげなく見ていた人も、じっくりとごらんください。 

 「直接請求」ってなに? 旧高富町では、91年に「ゴルフ場の賛否を問う住民投票条例」制定を求める直接請求が行われ、約70人の受任者(署名を集める人)が、10日間で約1500人の有権者の署名を集めました。昨年の「市町村合併の住民投票条例」や「合併協議会設置」もこの直接請求です。
 岐阜県内では、96年の御嵩町での「産業廃棄物処分場の賛否を問う住民投票条例」の署名運動が有名で、全国で初めて住民投票が実現しました。
 「直接請求」は地方自治法に定められた直接民主主義の制度です。
 市民がなにかを実現したいと思ったとき、決められた数以上の有権者の署名を集めて提出します。署名運動の自由は公職選挙法で守られ、この署名運動を妨害したり、署名をした人に圧力をかけたりするときびしく罰せられます。
 「選挙公報の直接請求」の署名は、請求代表者から委任された「受任者」が署名を集めることができます。
 「受任者」は、山県市の有権者ならだれでもなることができます。
 「請求代表者」も、趣旨に賛同する有権者ならだれでもなることができます。
請求代表者はひとりでもできますが、たくさんの人でスタートさせたいと思っています。わたしたちは、山県市の選挙公報を実現させる運動をいっしょにすすめてくださる仲間を求めています。

 あなたも、「請求代表者」のひとりになってください。
 あなたも、「受任者」になって署名簿をあずかってください。
 この「直接請求」の署名運動がはじまったら、あなたもぜひ、この署名にご協力ください。あたらしい山県市、わたしたちといっしょにつくりませんか?
                       (山県市民・寺町みどり)


 11月10日過ぎに提出予定の正式手続きの書類には、住民が実際に制定を希望する条例の案を添付するよう定められています。以下に、抜粋します。

 山県市議会議員及び山県市長の選挙における選挙公報の発行に関する条例(案)   

(趣旨)
第1条 この条例は、公職選挙法第172条の2(任意制選挙公報の発行)の規定に基づき、山県市議会議員及び山県市長の選挙における選挙公報の発行について必要な事項を定めるものとする。

(選挙公報掲載文の申請)
第3条 候補者が選挙公報に氏名、経歴、政見、写真等の掲載を受けようとするときは、その掲載文及び写真を添え、市委員会に文書で申請しなければならない。

(掲載文の品位の保持)
第4条 掲載文については、法第150条の2(政見放送における品位の保持)の規定を準用し、候補者は、その責任を自覚し、他人の名誉を傷つけもしくは善良な風俗を害しまたは特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする事項等いやしくも選挙公報としての品位を損なう事項を記載してはならない。

(選挙公報の配布)
第8条 市委員会は、選挙公報を当該選挙に用いる選挙人名簿に登録された者の属する各世帯に対して、選挙の期日前3日までに配布しなければならない。

2 市委員会は、前項の配布すべき日までに新聞折り込みその他これに準ずる方法による配布を行うことによって、同項の配布に代えることができる。

3 市委員会は、配布が可能となった日から投票日の前日まで、市の施設その他公衆の集合する適当な場所に選挙公報を備え置く等による選挙公報の配布を補完する措置を講ずることにより、選挙人が選挙公報を容易に入手することができるよう努めなければならない。

4 第1項及び第2項の配布方法は、市委員会が併用することを妨げない。


 下記は11月10日過ぎに提出予定の正式な手続きの書類の原案です。住民がなぜ請求するのか(請求の趣旨)を千字以内で書くよう定められています。

山県市議会議員及び山県市長の選挙における選挙公報の発行に関する条例制定請求書(案)

  《請求の趣旨》
  山県市は、今年4月1日に、高富町、美山町、伊自良村が合併して誕生した、新しい市です。
  来年4月の新市の議員選挙が、旧町村ごとではなく大選挙区で行われることは、歓迎されています。ただ、その選挙では、それぞれの旧町村の住民にとって、それぞれなじみのない多数の候補者が、いっせいに新市の有権者の判断に委ねられます。このままでは、候補者の政策や人がらが有権者に伝わるのか、選挙の公平や票の平等が確保できるのか、不安が指摘されています。
  国政選挙においては、政党の公約を示す文書であるマニフェストの選挙期間中の配布が、今回から認められています。地方自治体の選挙でも、政見、
 政策、経歴や人がらなどを伝え、有権者が候補者の評価をする材料をより多く提供する選挙公報の必要性が、いっそう高まっているのです。
  選挙公報は、国政や県の選挙では以前より実施されています。市町村でも実施する団体が増えつつあります。岐阜市では、昨年、市民からの選挙公報発行を求める請願を市議会が全会一致で採択し、条例を定め、今春の議員選挙で選挙公報を発行して、市民の好評を得ました。
  現在、投票率アップの目的で制度が改正されて、不在者投票する有権者が増えていますが、早期に投票する有権者の判断のためにも選挙公報はおおいに役立ちます。
  一般の有権者の判断のために十分な期間を確保し、また不在者投票する有権者のためにも、選挙公報を1日も早く配り始めることの必要性もまた高まっています。広報は通常、告示日の翌日には印刷し納入されますから、投票日4日前配布も可能です。
  さらに、選挙公報の公的な配布は、きわどい文書配布を得手とする候補とのアンバランスを是正する効果もあります。
  地方自治法は住民自治の理想を実現するために、直接請求の制度を定めています。よって、私たちは、「新しい市」の市民として、新市というにふさわしい制度の一つとして、選挙公報の発行を実現するため、本条例の制定を請求します。
  なお、選挙公報の原稿を選管が訂正できる規定を設ける自治体もありますが、これは不要です。なぜなら、虚偽公表罪(公選法235条)、選挙公報の不法利用罪(同法235条の3)等が規定されていますし、ポスターや公選ハガキに関して、選管による閲覧や訂正の規定を公選法は定めていませんが、今まで特に問題も生じていないからです。選挙公報についても、違反者には罰則が課され、当選無効にな ることなどを周知すれば適正な表現は確保できますから、憲法で定める「検閲の禁止」とあいまって、過剰な規制をすべきではありません。