山県市の選挙公報の条例制定について

直接請求中に市が選挙公報の条例を提出!

                           2003年12月3日
報道機関の皆様へ
                    「新しい山県市に選挙公報を実現する会」
                           事務局長 寺町知正
       TEL・FAX0581−22−4989 ケイタイ090−1827−0949

 私たちが11月19日に地方自治法第74条に定められた住民による直接請求の手続
きで、山県市の選挙公報発行の条例の制定をもとめるための署名運動をおこなっている
ところです。
 そのさ中に、同種の条例を、市長が本日12月3日開会の市議会に提案しました。
全国的に、直接請求しても条例制定に至らないケースがほとんどの現状で、極めて特殊
なケースになってしまいましたので、コメントを表します。

《市が率先して条例案を提出したことをどう評価するか》
 1, 基本的な意義
 住民がこういう条例を作ってほしいと法に定められた直接請求の方法で提案・運動を
始めたことを受けて、自治体が率先して条例を提案すること自体は、憲法でも保障され
ている住民主権の実現として、高く評価できます。

 2, 具体的な条例の規定と方針によって変わる
 次に、具体的に条例をどう評価するかは、条例の内容や実施方針によって、まったく
変わります。
 前向きで同水準の条例、あるいはもっと良い条例なら、市民の署名集めも必要なくな
りますから、提案をすぐ受けいれたことは「住民参加の実現」として高く評価できます。
 逆に、住民の条例案より後退した内容であるなら、地方自治法第74条で保障された
「住民の条例制定請求権」の侵害ではないでしょうか。

 3, 今回のケース
 では、実際に、今回の場合はどうでしょうか。
 下記の比較のとおり、条例案の文言の違いはともかく、条例の評価は実際にどのよう
に条例が運用されるかで決まります。このことは、現時点では明らかになっていません
ので、議会質問、質疑で明確になることを期待します。

 4, 署名運動
 12月市議会は12月3日開会。委員会付託はありませんので、12月19日最終日
に質疑、討論、採決、との日程です。
 他方で、私たちの直接請求の署名集めの最終日は12月20日。
 この“微妙なタイミング”に、いま、私たちはおかれました。
 市の条例案が提案されたのは事実ですが、議会がの賛成で可決されなければ条例は制
定されません。議会が否決するか可決するかは、未知数です。
 その観点では、「もう、署名は必要ない」と安易に考えず、念のために、署名運動を
続けていくことになります。

     《二つの条例案の比較》
  私たちの求める条例案の第8条と山県市の条例案の第5条の比較をします。

                  私たちの条例案     山県市の条例案   
配布期限は、投票日の      3日前(木曜日)    2日前(金曜日)   
配布方法は、        
 主としてとる方法     
  かわりに配る方法     
  上記を併用して広く知らせる
           
 各戸へ配布する   
 新聞折込み     
 併用できる     
            
 各戸へ配布する    
 新聞折込み      
 併用は想定していない 
公けの場に備え置くことは、 
 どの場合に        
  いつから         
  どこに          
               
           
 どちらの場合も置く 
 配布可能日から置く 
 市の施設や公衆の  
 集合する場所    
            
 新聞折込みの場合は置く
 規定なし       
 市役所その他適当な場所
            

◆【説明】
 《配布期限について》
 市の選挙は日曜日に立候補の届け出ですが、人口40万人の岐阜市でも、翌日月曜日
には契約した印刷所から選挙公報が市に納入されます。だから、投票日の4日前(水曜
日)でも配布終了は可能です。実際に、いつから配る方針でいるのか、によって評価が
決まります。

 《配布方法について》
 広く知らせるには、各戸へ配布すると同時に、新聞折込みなどを併用するのが良いこ
とは誰が考えても明らかです。例えば、同居世帯では1部では不足です。
 市の条例案を読むと、どちらか一方を規定している、と受けとれます。もっとも、併
用は禁止とはされていませんから、積極的に運用すれば、併用は市の条例案でも可能で
す。実際に、併用可と認識するのかしないのか、によって評価が決まります。

 《公けの場に備え置くこと》
 市の条例案を読むと、新聞折込みの場合には市役所その他適当な場所に置くと規定し
ている、と受けとれます。もっとも、「禁止」とはされていませんから、積極的に運用
すれば、各戸へ配布する場合であっても各所に置くことも、市の条例案であっても可能
です。実際に、どのように運用していく方針か、によって評価が決まります。

 《いつから置くか》
 市の条例案では明確ではありませんが、印刷所から納入され次第置く、との方針であ
れば、評価されます。

 《どこに置くか》
 消極的に「市役所に」でなく、積極的に各所に置く方針であれば、評価されます。
                                     以上