山県市議会議員及び山県市長の選挙における
  選挙公報の発行に関する条例制定請求書

《1 請求の趣旨》
  山県市は、今年4月1日に、高富町、美山町、伊自良村が合併して誕生した、
 新しい市です。
  来年4月の新市の議員選挙が、旧町村ごとではなく大選挙区で行われること
 は、歓迎されています。ただ、その選挙では、それぞれの旧町村の住民にとっ
 て、それぞれなじみのない多数の候補者が、いっせいに新市の有権者の判断に
 委ねられます。このままでは、候補者の政策や人がらが有権者に伝わるのか、
 選挙の公平や票の平等が確保できるのか、不安が指摘されています。
  国政選挙においては、政党の公約を示す文書であるマニフェストの選挙期間
 中の配布が、今回から認められています。地方自治体の選挙でも、政見、政策、
 経歴や人がらなどを伝え、有権者が候補者の評価をする材料をより多く提供す
 る選挙公報の必要性が、いっそう高まっているのです。
  選挙公報は、国政や県の選挙では以前より実施されています。市町村でも実
 施する団体が増えつつあります。岐阜市では、昨年、市民からの選挙公報発行
 を求める請願を市議会が全会一致で採択し、条例を定め、今春の議員選挙で選
 挙公報を発行して、市民の好評を得ました。
  現在、投票率アップの目的で制度が改正されて、不在者投票する有権者が増
 えていますが、早期に投票する有権者の判断のためにも、選挙公報はおおいに
 役立ちます。
  一般の有権者の判断のために十分な期間を確保し、また不在者投票する有権
 者のためにも、選挙公報を1日も早く配り始めることの必要性もまた高まって
 います。広報は通常、告示日の翌日には印刷し納入されますから、投票日4日
 前配布も可能です。
  さらに、選挙公報の公的な配布は、きわどい文書配布を得手とする候補との
 アンバランスを是正する効果もあります。
  地方自治法は住民自治の理想を実現するために、直接請求の制度を定めてい
 ます。よって、私たちは、「新しい市」の市民として、新市というにふさわし
 い制度の一つとして、選挙公報の発行を実現するため、本条例の制定を請求し
 ます。
  なお、選挙公報の原稿を選管が訂正できる規定を設ける自治体もありますが、
 これは不要です。なぜなら、虚偽公表罪(公選法235条)、選挙公報の不法
 利用罪(同法235条の3)等が規定されていますし、ポスターや公選ハガキ
 に関して、選管による閲覧や訂正の規定を公選法は定めていませんが、今まで
 に特に問題も生じていないからです。選挙公報についても、違反者には罰則が
 課され、当選無効になることなどを周知すれば適正な表現は確保できますから、
 憲法で定める「検閲の禁止」とあいまって、過剰な規制をすべきではありません。


《2 請求代表者》
 高富1064-4 自営業 田中勝雪  藤倉527    会社員 上野和俊
 高木990-1  会社員 信田雄三  西深瀬881-30  会社員 林 武
 伊佐美156  自営業 長屋正信  西深瀬1433-2 自営業川田三千彦
 西深瀬208-1 自営業 寺町知正

 上記の通り、別紙条例案を添えて条例の制定を請求します。
                  2003年(平成15年)11月19日
山県市長 平野元 様