実行委員会文書非公開処分取消訴訟
概要
・提訴 2000年5月22日(月)
判決 2002年1月17日(木)
結審 01年9月6日(弁論7回)
・ 97年3月、「実行委員会」という団体を構成してイベントなどを行う岐阜県の手法に関して、フライデー(97年3月21日号)が「岐阜県庁“うラ金づくり”の決定的証拠」としてスクープしたことで、実行委員会と不正経理の問題が表面化しました。
県は、これを契機に調査し、他の実行委員会についても不用額は返還等適切に処理させた、としています。私たちは、同様な団体(※)について、独自に調査をしましたが、実行委員会経理の核心部分である領収書や請求書などの証拠書類が、「県職員の机の上に全部ある」にもかかわらず、「実行委員会の管理の書類であるから、県の公開条例の対象ではない」として、これらを非公開にされました。
重大な社会問題になっているので、公文書公開審査会に異議申立しましたが、99年10月に「非公開」との答申。これを受け、県は00年2月23日、再度「非公開決定」。
その経費の100%もしくは大部分を行政が委託料あるいは補助金として提供している実行委員会、行政の隠れみのとも言える要素がある団体ですから、その関係文書を自治体の公開条例に含めるべき事は、全国的な課題です。
◆ ※1996年度 岐阜県が1000万円以上支出した実行委員会についての調査
実行委員会は、県庁30課で63団体(県の補助金総額7億4340万7千円)。
うち県が1千万円以上支出予定したのは22団体(県の補助金総額6億2860万4千円)
◆97年3月25日から、これら22団体に関しての関係資料を公開請求した。
これらは、団体の事務局が
◇岐阜県にあるのが15団体
◇中間機構にあるのが7団体
・代表者が岐阜県職員であるのは13団体
内訳・知事6 副知事4 企画部長2
県美館長1 中間機構3 民間6
・上記のうち、資料分析から、経理に疑問が特に深いと思われ、かつ、特に県とのかかわりの深い6団体についての非公開処分に関して行政訴訟を提起しました。
◆《訴訟の争点》岐阜県情報公開条例第2条2項の規定「この条例において『公文書』とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真であって、実施機関が管理しているものをいう」という規定をどのように解釈するかが争点。
◆《訴訟で争いがないこと》
・実行委員会の事務局は県庁の各課におかれ、県職員が当該団体の事務を兼務している
・県が全部もしくは大部分の経費を負担をし、大部分が知事らが代表についている
・担当課の職員が実行委員会の事務をすることについて、職務専念義務免除をしていない
・県の各課に事務局を置くのに目的外使用許可を与えていない
・実行委員会の事務遂行時も、現在も県庁のなかに本件文書が置かれている
・実行委員会の職務に対する手当は、岐阜県が県職員の給与として支給している
・実行委員会には法人格がない
・その他
◆《判決》判決は、裁判所として条例をどう解釈するかをまっく述べていません。判示のあまりのひどさに、呆れると同時に、これなら高裁では覆せると思いました。県の言い分を書き写しただけですから、紹介するまでもありません。
◆もちろん、控訴しました(1月31日)。
◆双方の主張の比較表
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│ │ 原 告 主 張 │ 被 告 主 張 │
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│ ◎ 実行委員会の条例上の位置付けについて │
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│ 実行委員会の独立性 │ 県から独立とはいい難い │ 規約、代表、予算等ある │
│ │ │ │
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│ 法人格と条例対象性 │ 法人格がなければ対象だ │ 権利能力なき社団である │
│ │ │ │
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│ 団体の独立性と条例 │ 団体の独立性と条例対象 │ 独立した団体であれば │
│ 対象性の関係 │ 性は無関係 │ 条例の対象でない │
│ │ │ │
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│ 団体の余剰金の処理 │ 県と不可分だから返還。 │ 実行委員会の議決によっ │
│ として県に返還した │ 議決なしの返還もある │ て県に返還した │
│ │ │ │
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│ 実行委だけが目的外 │ 県と不可分だから必要が │ 本来申請すべきであった │
│ 使用許可を受けない │ ないと認識していた │ が、申請しなかった │
│ │ │ │
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│ ◎ 「職員が作成し又は取得した」について │
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│ 文書の作成取得権限 │ 法律上の権限問題でない │ 法律上の権限は実行委だ │
│ │ │ │
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│ 職務専念義務免除を │ 免除していないから通常 │ 県のなすべきことだから │
│ しない理由 │ の県の職務というべき │ 免除しなくてもよい │
│ │ │ │
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│ 他団体は上記免除有 │ やはり他の団体とは違う │ 地公法35条に抵触せず │
│ │ │ │
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│ 適法な共催や協力決 │ 共催や協力の議案・事業 │ 予算書に当該事業の予算 │
│ 定で上記免除は不要 │ との議会説明・認識ない │ が明示されている │
│ │ │ │
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│ 職務上作成し、又は │ 県の職員が職務の範囲で │ 実行委員会の仕事として │
│ 取得したといえるか │ 作成・取得したもの │ 作成・取得したもの │
│ │ │ │
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│ ◎ 「実施機関が管理している」について │
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│ 公開請求時、県庁内 │ 県の文書として保管して │ あくまでも実行委員会の │
│ にあったこと │ いるから管理している │ 管理だ │
│ │ │ │
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│ 実行委員会解散後も │ 事業記録として価値と責 │ 事実上あるだけで、県の │
│ 県庁内にあるること │ 任があるから保管する │ 管理ではない │
│ │ │ │
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│ 現在も県庁内にある │ 廃棄されず保管保存され │ 異議申立や訴訟が起きた │
│ │ ているから「管理」だ │ こともあり庁舎内にある │
│ │ │ ─ ─────────── ┤
県の経理改正指導有 │ 規則等県に準ずるからだ │ 協力要請しただけ │
│ │ │ │
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│ 実施機関が管理して │ 公文書管理規定がなくて │ 公文書管理規定に基づい │
│ いるもの │ も実質的に管理している │ ていないから管理でない │
│ │ │ │
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│ ◎ その他 │
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│ 処分後の事情の変化 │ 審査会答申を受けての │ あくまでも、原処分時の │
│ (解散等) │ 再決定処分も本件の対象 │ 事情の判断である │
│ │ │ │
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│ 発覚の不正経理事件 │ 透明性が必要だ │ 一部不適切だっただけ │
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