首都機能移転情報非公開取消訴訟ほぼすべて勝訴

02年9月25日(水)の岐阜地裁の判決の要点を下記のとおりまとめました。

◆個人情報の一部を除いて、事業者の見積書、審査議事録、評価結果等すべて公開を命じました。特に、下記のDの評価やその審議過程の公開は画期的、しかも、DFで契約に至っていない業者まで公開に含めたのは画期的だと評価しています。

◆非公開が容認された情報
《1号(個人情報)該当に関して》
@契約審査会調書中の個人氏名及び個人氏名推認情報=《慶應義塾大学教授名》《随契業者の参与職にある者の氏名(しかも、県にゆかりがあることの記述中に出て来る時の氏名)》については「個人に関する情報である」(判決17〜18頁ア、イ)。

A見積書中の会議出席委員の旅費額等=《公共交通機関の運賃額と日当額》は、「個人の収入に関する情報である」(判決19頁(3))。
 但し《○○〜東京》という時の地方公共団体名は公開命令(判決18(3))。
 なお、委員氏名と《○○〜東京》距離はもともと開示済みである。

◆非公開処分取消命令の情報
《1号(個人情報)該当に関して》
B入札書中の代理人=《役職、氏名、印影》は「事業者代理人であるから事業者情報(4号)として判断すべきとの原告主張は採用できない。が公益上公開すべき」(判決20頁(4))。

《4号(事業活動情報)該当に関して》
C見積書及び契約書・請書中の債権者・指名業者の名称、所在地、名称について、
 「被告は事業者の正当な利益が損なわれることガないのは明白である」(判決25頁オ、カ)。印影については、「支障は具体的に想定し難い。悪用のおそれは公開の有無にかかわらず存在しているし、可能性は低い」(判決27頁(3))。

D契約審査会の議事録中の債権者や入札指名業者の評価についての議事内容・結果
 契約の適正を確保するための部課長らと担当職員との事前審査の会議の調書(議事録)で、指名予定の事業者の評価を議論した質疑などが記録されています。
 「被告は、県の当該事業者に対する一般的な評価と誤解されると主張するが、そのような事態が発生する可能性は低い」(判決29頁イ)と明確。
 プロポーザルで7社指名したうちの応じてきた4社の企画案を、県の部課長ら6人の評価委員ごとに、5つの評価基準(公開)に従って順位を付けたいわばテストの成績表の一覧表のようなものですから、これが公開すべき、というのは画期的です。
 判示は「上記評価は当該企画に関しての評価に過ぎず、法人事業者としての優劣を判断したものではないし、仮に、他の顧客がこの評価を参考としたとしても、もともと能力格差に由来するものだから、事業者は甘受すべき」(判決25頁エ)と明確です。

E契約審査会調書中の指名業者の他で公開していない調査実績は、「被告から事業者の正当な利益が損なわれることの具体的な主張立証がないから、非公開処分は違法である」(判決28頁(4))。 従業員数等については「正当な利益が損なわれることがないのは明白」(判決29頁(6))。

F「見積書」は、すべて公開です。随分と詳細なものもあり、事業者名が公開されれば、「それぞれの事業者の見積単価」等が明確になるわけで、自治体に膨大にある全ての契約に影響が及びます(愛知県は事業者名を公開し、見積書の記載部分全面をマスキングしています)。
 しかも、契約相手方(債権者)に至らなかった参加(指名)業者の見積書もまったく債権者と同様に位置付け公開を命じました。
「被告は他社に手の内を読まれるなど主張するが、それは公正な競争秩序である」(判決23頁(ア))、見積書の単価は「競争上の地位、正当な利益を損なうものではない」(判決23頁(イ))、「見積書のノウハウ、技術、アイデアを要求される契約では、契約額の高低だけで批判等がでると県との契約を敬遠したり、困難となる」との被告主張に対して「可能性は低い。過った批判であれば、その誤解を解くのが本筋であり、そのために原則公開の情報を非公開とすることは本末転倒である」(判決23頁(ウ))。
                                     以上