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《別紙−A 岐阜県個人情報保護条例(本件条例)20条1項に基づく削除請求の理由》
 
「削除を求める内容は、住所、氏名、性別、生年月日、住民票コードである」

第1 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)運用は違法である
(1)「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利・・・立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(憲法13条)とされているところ、本人の意志に関係なく、行政機関が国民一人ひとりに番号をつけてそれぞれの情報を管理することは個人の尊厳を侵害する。

(2)住民基本台帳法は附則1条2項で、「この法律の施行にあたっては、政府は、個人情報の保護に万全を期すため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする」として、政府に法的義務を課している。小渕総理大臣も個人情報保護法の成立が前提である、と国会で答弁している。が、これを怠ったまま、住基ネットを開始したことは違法である。

(3)同法30条の40で「知事は、訂正、削除の申出があったとき、その結果を書面で通知する」とされているが、この際の当該結果の通知は処分ではないと岐阜県はいう。仮に、「処分でないから不服申立ができない」とするなら、不服申立を保証していない同法30条の40の規定は、憲法13条に違反する。

(4)住基法3条1項は市町村長に「常に、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と義務づけている。しかし、県内で個人情報保護条例が整備された市町村は少ない。

(5)首長や地方議会から、住基ネットの運用を批判する意見が多数でている。

(6)03年8月からスタートのICカードは、民間利用を含めて条例で規定すれば自治体ごとに各種の利用が可能となること(30条の43の8項)と、住民票コードの民間利用制限(30条の43)との整合性がない矛盾した制度である。しかもセキュリティ上の不安が拡大するのである。

第2 本件条例3条(実施機関の責務)に違反する
 3条が「この条例の目的を達成するために、個人情報の保護に関して必要な措置を講じなければならない」としているところ、下記のとおり違反している。

第3 本件条例6条(収集の制限)に違反する
 6条は「個人情報を収集する場合は、本人から収集しなければならない。ただし、次のいずれかに該当するときは、この限りでない。一 本人の同意、二 法令等の定め、三 緊急かつやむ得ない場合、四 公にされているとき、五 個人情報保護審査会の意見があるとき」としている。しかし、
@住民票コードの付番及び県の収集に私は同意しないし、
A第1のとおり現行住基法は違法であるから「法令等の定め」とはいえず、
《別紙−B 岐阜県個人情報保護条例(本件条例)20条1項に基づく削除請求の理由》
B他の3項目にも該当しないから、
禁止解除の要件を満たしていない。
 よって、第6条の規定に従い、岐阜県は私の個人情報を収集してはならない。

第4 本件条例7条(利用及び提供の制限)に違反する
 7条は「個人情報取扱事務の目的以外の目的のために、内部において利用し、又は実施機関以外のものに提供してはならない。ただし、次のいずれかに該当するときは、この限りでない。(一ないし五項とも6条に同じなので略)」としている。しかし、
@住民票コードの付番及び利用並びに外部へ提供することに私は同意しないし、
A第1のとおり現行住基法は違法であるから「法令等の定め」とはいえず、
B他の3項目にも該当しないから、
禁止解除の要件を満たしていない。
Cそもそも、住民票コードを県が扱うことは県の事務ではない。
 よって、第7条の規定に従い、岐阜県知事は私の個人情報を利用・提供してはならない。
第5 本件条例8条(提供先に対する措置の請求)に違反する
 8条は「実施機関は、提供を受けるものに対し、その適正な取扱いについて必要な措置を講ずることを求めなければならない」としている。しかし、
@知事は、国に対して、国段階でのアクセスログの開示を求めないし、
Aアクセスログの改善のためのプログラム修正を求めていないから、
知事の不作為は条例違反であり、さらに、
B国の機関で本人確認情報の利用があった場合、何の事務の確認のために利用されたのか調べることが市町村や県ではできない。
 この@〜Bのような状態で岐阜県知事が私の住民票コードを扱うことは許されない。

第6 本件条例9条(適正管理)に違反する
 9条2項は「実施機関は、個人情報の漏えい、その他個人情報の適正な管理のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」としている。しかし、
@セキュリティの不安が改善・解決していないし、
A知事は県民に対するアクセスログの開示を行わず、
B当該市町村に対しアクセスログの通知も行わないから、
この不作為は条例違反であり、さらに、
C岐阜県の行政組織内部での目的外利用への懸念も払拭できない。
 この@〜Cのような状態で岐阜県知事が私の住民票コードを扱うことは許されない。

第7 まとめ
 岐阜県知事が住基ネットに係る私の個人情報を取扱っていることは、いま述べたように本件条例各条項に違反し、結果として、第1条の「個人の権利利益を保護することを目的とする」との条例の目的に反しているのは明らかである。よって、本件条例20条1項に基づいて、私に係る住基ネットの情報を直ちに削除するよう求める。       以上