トップページに戻る
更新ファイルのページに戻る

 下記は2003年1月10日の全国知事会情報化推進対策特別委員会・幹事会の資料です。

知事会のIT特別委員会は19県知事で構成。
委員会に出席するのは知事もしくはその代理。
同幹事会は、特別委員会に対応する県の部課長らで構成するいわば下部組織。
(事務総長)とは、全国知事会の事務総長のこと。
(委員長)は岐阜県知事梶原拓。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

02年12月20日開催
全国知事会・情報化推進対策特別委員会議事録(概要)


(事務総長)年末のご多用中各知事さんにお集まりいただいた。始めに当委員会委員長の梶原岐阜県知事よりご挨拶をお願いしたい。

(委員長)予算編成等お忙しい中ご参集いただき誠にありがたく思っている。今年最後の特別委員会になるが、中身のあるいい委員会にしてまいりたいと思う。特に今日は総務省から大野統括官においでいただいた。個人認証等の問題、随分と片山大臣はじめ皆さんご努力をいただいて、電子政府・電子自治体のオンライン化の基盤整備が格段に進んだ。その辺のこともお話いただきながら議論を進めてまいりたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

(大野政策統括官)

○知事の皆様のご支援をいただき、この臨時国会においていわゆる行政手続きのオンライ ン化関連3法案が成立したが、その中の公的個人認証法に関し2点程ご議論いただきたくて本日お尋ねした。

○公的個人認証法のポイントは、配付資料「電子政府・電子自治体の推進のための行政手続オンライン化関係三法のポイント」の5ページに、また、配付資料「地方公共団体による公的個人認証サービス運用開始スケジュール等」には、本日ご検討いただきたい点に関する記載がある。

○公的個人認証サービスの運用開始時期を来年の夏か秋に設定するとすれば、今はそのシステム構築のプロトタイプを作ってその後全国で運用の実用試験を行う必要がある。システム構築とは具体的にはソフトを作り込むことと国費で機器や設備を買い上げて、それを使って実証実験を行うことである。

○本日皆様にご検討願いたいのは、そのシステム構築と実証実験のための国費の支出の受皿を、どこかの団体に都道府県の代表として引き受けていただきたい点、もう一つは、電子証明書の先行業務を47都道府県がどこか1箇所に委託すれば、住基カードなどのICカードが3年間有効で1枚500円程度で発行できるという試算があるが、住民の負担感を考えると、1枚1,000円程度までであろうと考えており、発行業務を行う委託機関を1箇所か2箇所かに絞るかどうかの方向怯をお出しいただきたいというのが2点目のお願いである。

(加戸愛媛県知事)なるべく統一されたものをコストダウンでお願いしたい。県内の2つのブロックで情報ネットワークシステムを構築中であるが、ハード、ソフトそれぞれ7億円の試算である。特にソフト面を別々にやれば膨大な無駄な経費が出るので、県内だけでも統一したいし、また、47都道府県それぞれが個別の認証機関に委託するなどはたわけた話でありぜひ1本化してもらいたい。さらに、認証業務に関するソフトはほぼ全国共通と考えていいと思われるため、総務省がモデルフォームを作って各自治体はそれをなぞってできるだけコストダウンを図っていくことが、税金の無駄遣いという批判や住民負担の軽減の観点からも有効だと思う。

(増田岩手県知事)コストダウンの方向で共同化を考えたい。1箇所の認証機関ではセキュリティーの問題があるため、全国2,3箇所設けた方がいいかどうかについて聞きたい。

(大野統括官)どこかにバックアップを確保しておく方がいいと思う。災害時のこともあるので、どこか離れたところにデーダベースをバックアップする施設を持つ方がいいと考える。

(柿本奈良県知事)都道府県知事が電子証明書を発行するとなっているが、本来これは誰の事務なのか。包括して委託した機関が何か不手際を生じた場合、誰がどういう形で責任を取るかという問題。

(大野統括官)
今回の法律の組立は、証明書の発行事務は都道府県の自治事務、本人確認は市町村の事務という位置付けになっている。委託機関に委託する場合は委託先との契約での規定がある。

(柿本奈良県知事)市町村が住民基本台帳を持っているのだから本来は市町村の事務である。しかし、都道府県が入ってきたのは、コスト面や3,300の団体を集めるのはたまらないという発想があると思う。市町村で生じた問題について全部都道府県知事が責任を負えるかという問題が出てくる。デジタル化してデータベースはどこかに集められ、住基台帳は全部市町村にあるのに、何も知らない都道府県知事が訴訟事が起これば全部対処しなければいけないことなのだろうか。法律が出来たからそれ自体とやかく言うわけではないが、一番何も知らなくて何もさわれない人間がすべてのコントロールの責任を持っていることはちょっと無理があると思う。

(大野統括官)
電子証明書の発行手数料の問題や集中的に処理できる仕組みを考えた結果そのような位置付けになった。47都道府県知事が発行名義人になり、また、認証機関を予め法律に入れて共同で出来るようにしたのも、できるだけ住民の手数料を下げたいと考えたからである。

(事務総長)要するに、印鑑登録でも住民票でも戸籍抄本でも同じ事であるが、適法に処理された電子証明書が悪用されて個人や企業に被害が生じた時に、そのことで発行権者の都道府県知事が訴えられて揖害賠償をされるようなことになるのか、あるいはそうではなく、あくまで個人のサービスのためにやるのだから、適法に発行されたものについては免責されるということは法律にちゃんと書いてあるのかということ。

(大野統括官)それは国会でも議論があったが、発行するに当たって過失があれば、国家賠償法の適用がある。
(柿本奈良県知事)例えば、委託機関が赤字になれば発行手数料で回収するのか。その責任は誰が持つのか。
(大野統括官)赤字になるかどうかは発行手数料との関係となる。

(柿本奈良県知事)スケールメリットを出したいというのはよく分かる。全員参加でなくても、90%以上の参加があれば昔の特許会社でも作って国がやらせたらどうか。経営責任の話になるとこのままでは一部事務組合を県が作ったようなもので、何でも税金でまかなえばいいという話なら別だが。手続上で被害が生じたら都道府県や市町村で責任を持つが、サーバ上での問題や経営責任は会社の方で持つというように、それぞれの主体が責任を分担する方が望ましいと思う。法律が通って何も言えないが。
(事務総長)私も法律を作るときから参画しているが、こうしたサービスをするかしないかというのは、柿本知事も言われるように根元的な問題で、この議論に関しては、結局、電子証明書は何のために必要なのかという点がポイントである。それは、国民に対して電子申請をしていいという法律が先行し、そのために電子証明書はどうしても必要になることだから、やはり行政機関側がサービスを提供せざるを得ない。その時に行政機関として、市町村であれ都道府県がそれぞれ責任分担してサービスを提供する必要があるのではないかという議論ではないかと思う。これが全くの個人の財産管理のために電子証明書を使うのであれば個人の自由でいいということになるのかもしれないが、あくまでそこは、市町村の事務であり都道府県の事務であるかもしれないが、そういうもののために住民、国民に対してサービスを提供しないと電子手続きは実際に動かないということに着目するとそういうことをせざるを得ない。従って、責任問題というのは、行政手続きを進める一つの内部の問題に過ぎないのではないか。新しく出てきた問題ではなく、今までもある、印鑑登録をする、住民票を発行するのと似たような、行政手続きの内部の問題であるという議論の経緯があった。


(石井岡山県知事)都道府県知事を入れるかどうかという議論は法律を作る時の議論に戻ってしまう。全国1箇所の委託機関でいいのであれば何のための都道府県知事かという元の議論に帰ってしまう。コスト論でいけば誰が考えても一つでいい。さりとて、−つのところに皆が委託した時、まちがいが起こったときの責任の所在はよく分からない。個人情報保護法は早急に成立させることが前提であり、住基ネットを稼働させる時、議会で議論になるかもしれない。場合によって全国一斉のスタートができないかもしれない。
また、人材の育成について国が支援しないとこのシステムは動かない。

(委員長)この事務は従来の自治事務の仕事の中にあって、質的にサービスのやり方が変わったということだと思う。住民票の発行その他いろいろ広域でワンストップサービスによって自動的に広域行政を行うことになり、都道府県の役割が増大したことになる。
 自治事務であることが大前提であり、いつまでも国が関与しているのは誤解を招くことになるので、法律で決まったからには我々が背負い込んで、住民サービスの向上という責務は我々にあるわけだから、我々自身の問題として仕事を進めていく必要がある。また、全国知事会というフォーマルな組織の中の特別委員会という場で我々が自治事務としてどう対処していくかを決めて行かなければならない。今まで住基ネットの問題をはじめ今度の自治事務の仕事など総務省にご努力いただいてきたが、この辺で本来の自治体の立場から我々自身の問題として制度がうまく動くように、この特別委員会の責務も重大である。
これからこのような場で論議し、さらに具体化を進めるということでよろしいか。


一賛成の声−

(大野統括官)先程の実証実験の代表県選定の件をよろしくお決めいただきたい。

(委員長)全国知事会という場がお受けする場として一番いいと思うが、要するに国費を直接投入するという形式になっているので、どこかで整理上、窓口を作ってくれということ。

(事務総長)
全国知事会には受け入れる窓口は作れないので、この特別委員会の委員長県にお引き受けいただければいかがかと思う。

−賛成の声−

(委員長)特に私からお願いいたしたいのは、特別委員会で皆で智恵を出し合ってやっていきたい。それぞれの県で何かやっていただくこともあるかもしれない。必要であれば論議の場を特別委員会で幹事会的に置いてもらうということを是非ご了承いただきたい。全員一致協力していただけるということを前提で今の総務省からの話は進めさせていただくということでよろしいか。

一全員了解−

(委員長)総務省とも今後何か新しいことが出たら、緊密に連携を取り合って、具体的に円滑に進めていきたいのでご協力をお願いしたい。

一総務省退席−

−「その他」に関して−

○当委員会への民間企業等のオブザーバ参画の件
 日経新聞(12/20朝刊)に電子自治体関係の記事を寄稿していた東大の須藤修氏など民間の方を招へいするなどして幅広い議論を展開していきたい。具体的な進め方は幹事会で調整されたい。

○日米電子自治体会議の件
 来年の5月下旬にアトランタで開催予定。多くの知事の参加を希望する。
 その前段として、2月7日に千葉県の幕張メッセで日米自治体CIO会議を開催する。
 日本の自治体もCIOについて議論することも面白いと思うので、都道府県のCIOや情報化推進担当部長に参加願いたい。米国からはケンクッキー州のCIO、全米全国知事会のIT担当者が参加する予定である。

○配付資料の説明
・「新IT戦略骨子(案)」:政府のIT戦略本部の専門調査会(出井会長)で検討中の資料
  ※全国知事会として、この特別委員会でも今後のIT戦略がいかにあるべきかを議論し、意見をまとめてIT戦略本部に提出したいと思っている。IT戦略本部には自治体代表は私しかいなく、民間企業の委員が大勢で孤軍奮闘している。こうした形でのバックアップをお願いしたい。

・「情報家電・ブロードバンド・IT」産業発掘戦略の概要:いよいよ端末、ユーザーとの接点をどうするかが大きな課題となる。ご議論をお願いしたい。

・「第3回地域からIT戦略を考える会」共同宣言:先般のIT戦略本部の会合に提出したもの。このようにいろいろな形で、ユーザ、地方自治体側の意見をどんどん提出していかないと民間企業中心の議論になりかねないので是非ご協力をお願いしたい。

                          以上