告 発 状
被告発人
岐阜市長 浅野勇
岐阜市羽島郡衛生施設組合の本件廃棄物処分責任者(氏名不詳)
八幡町長 小森久二男
郡上広域連合の本件廃棄物処分責任者(氏名不詳)
古川町長 菅沼武
吉城広域連合の本件廃棄物処分責任者(氏名不詳)
白川村長 谷口尚
荘白川衛生施設利用組合の本件廃棄物処分責任者(氏名不詳)
北方町長 白木聡
北方町の本件廃棄物処分責任者(氏名不詳)
清見村長 松岡法泉
清見村の本件廃棄物処分責任者(氏名不詳)
穂積町長 松野幸信
穂積町の本件廃棄物処分責任者(氏名不詳)
告発人
別紙告発人目録の通り(岐阜県民11人・敦賀市民4人)
告発の趣旨
被告発人らは、キンキクリーンセンター株式会社に係る廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)で罰則を定める廃掃法第9条第1項及び第15条の2の4の第1項に違反する行為に関して、これを幇助もしくは共同正犯の罪を犯した容疑があるので、速やかに捜査の上、刑事処分を求めます。
告発の理由
一、「キンキクリーンセンター株式会社」(敦賀市三島38号の2番地の8。
代表取締役板谷治彦)は、87年9月21日に廃掃法第15条第1項に定める福井県知事の産業廃棄物処理施設の許可を受け、同年、一般廃棄物処理施設の届け出を行い、87年11月9日、廃掃法第8条第1項に定める福井県知事の一般廃棄物処理施設としての許可を得た廃棄物収集、運搬、処理会社である。
管理型最終処分場に対する許可内容は、埋立面積16817u、埋立容量197998u(届出受理日92年5月8日)である。
一般廃棄物処理施設の場合は廃掃法第9条第1項で、産業廃棄物処理施設の場合は廃掃法第15条の2の4の第1項で、それぞれ「構造及び規模の変更をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない」と規定されるところ、上記施設は93年以降は、変更の許可を得ていない。
右違反の場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金とされている。
二、厚生省は、上記施設での処分の現状に関して「無許可施設に入れているので違法の疑いが強い」としている(資料−1)。
そして、福井県知事は本年9月8日、キンキクリーンセンターと社長ら役員2人を廃掃法違反(第9条第1項「一般廃棄物処理施設の無許可変更」、第15条の2の4の第1項「産業廃棄物処理施設の無許可変更」、第25条第5号「罰則」)で福井県警に告発し、同日受理された(資料−2、3)。
三、岐阜市は、廃掃法に定める一般廃棄物処理のために周辺自治体とともに岐阜市羽島郡衛生施設組合を構成し、規約に基づき岐阜市長が管理者を兼務している。
同様にして、郡上広域連合は八幡町長が連合長を、吉城広域連合は古川町長が連合長を、荘白川衛生施設利用組合は白川村長が管理者を兼務している。
北方町、清見村、穂積町は単独で廃掃法に定める一般廃棄物処理を行っている。
四、被告発人らはそれぞれ、99年度以前より、「キンキクリーンセンター株式会社」が運営する管理型最終処分場に、本年6月末(吉城広域連合)ないし8月末まで(岐阜市など)、当該地方公共団体の焼却灰などの一般廃棄物の埋め立て処分を継続してきた。
当処分場への99年度の一般廃棄物の搬入は、事業者報告書によると14県の33団体であり、うち岐阜県内が6団体(資料−4)、中でも岐阜市羽島郡衛生施設組合が最も多い(資料−5)。これ以外に、穂積町も搬入している。
五、@市町村が他の市町村で一般廃棄物を処理する場合、廃掃法施行令第4条第9号で「相手方自治体に委託先法人名、埋立地の所在地、面積、残余の埋立容量、処分にかかる数量等を通知」「一年以上継続する場合は、処分の状況を確認する(一年に一回以上実地に行う/施行規則第1条の5)」とされている。
同令が《残余の埋立容量、処分量》を要件としたのは、許可量を越えた違法状態が惹起されることを回避するためであることは明らかである。
一方、99年度、吉城広域連合、荘白川衛生施設利用組合、北方町、清見村、穂積町はこの「事前協議」を行わず、岐阜市羽島郡衛生施設組合と郡上広域連合は敦賀市との協議が成立しなかった。
今年度は、いずれも協議を行わず、無断で搬入し続けた(資料−5、6)。
A県内の市町村の搬入量(資料−5)から見れば、特に岐阜市羽島郡衛生施設組合などは、自らの搬入によって当該施設の容量に決定的な影響を与え得ることは、十分に推測できた。
実際に、「(自治体関係者は)いづれも、問題があると感じつつも搬入を続けていた、と釈明した」とも報道され(資料−6)、岐阜市の幹部らは賠償問題になり得るとの認識まであった、と報道されている(資料−7)。
Bところで、当該施設に莫大な量の一般廃棄物が持ち込まれていることは、従来より報道等でも指摘されているのであるから(資料−8)、自治体の長や衛生・環境担当者らが職務上、それぞれの搬入の当初より当該施設が許可を越えた違法状態であることを十分に認識していたことは疑いない。
Cそして、本年6月9日に、福井県が許可量を越えていることを正式に認めたことで、「届け出量の12倍搬入」「94年に届け出量に達した」などの報道(資料−9)がなされており、関係者は、処分場が許可量を著しく上回る違法状態であることを、さらに確実に認識し得たものである。
その後も、当該施設に関する問題を指摘する報道は続いた。
D以上、被告発人らは相当以前より当該施設が許可を越えた違法状態であることを十分に認識し、かつ、手続き違反であることを認識しつつ、当該施設にそれぞれの市町村の一般廃棄物を継続して搬入し続けた(資料−10)。
六、よって、本件被告発人らがキンキクリーンセンター株式会社の当該処分施設に係る福井県知事の許可した量をはるかに越えていることを十分に認識しつつ、それぞれに搬入を続けたことは、キンキクリーンセンター株式会社のなした廃掃法第25条第5号に規定する同法第9条第1項、第15条の2の4の第1項に違反する行為について、それぞれに幇助(刑法第62条1項「正犯を幇助した者は、従犯とする」)もしくは共同正犯(刑法第60条「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」)の罪を構成すると思料されるので、捜査の上、刑事処分を願いたく告発する。
以 上
《添付資料》
資料−1 2000年8月26日(中日新聞)、(福井県民新聞)
資料−2 2000年9月 9日(中日新聞)
資料−3 2000年9月 8日(福井県発表資料)
資料−4 99年度の事業者報告書
資料−5 2000年8月30日(朝日新聞)
資料−6 2000年8月29日(朝日新聞)、8月30日(中日新聞)
資料−7 2000年9月14日(毎日新聞)
資料−8 1900年7月20日(朝日新聞)
資料−9 2000年6月11日(毎日新聞)、13日(朝日新聞)
資料−10 2000年9月 1日(中日新聞)
2000年9月18日
告発人代表 岐阜県山県郡高富町西深瀬208
くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク
事務局 寺町知正
岐阜県警 御中
《別紙告発人目録》
岐阜県民11人・敦賀市民4人
寺町知正 山県郡高富町西深瀬208
後藤兆平 美濃市大矢田1434
山本好行 揖斐郡谷汲村岐礼1048−1
寺町緑 山県郡高富町西深瀬208
白木康憲 加茂郡八百津町伊岐津志1405−1
別処雅樹 岐阜市黒野471−1
三輪唯夫 養老郡上石津町上鍛冶屋97−1
小栗 均 可児郡御嵩町上恵土1230−1
宮沢杉郎 加茂郡八百津町潮見407
白木茂雄 不破郡垂井町1292
堀 安男 岐阜市殿町4−8
田代牧夫 敦賀市白銀町13−29
今大地晴美 敦賀市本町1−5−21
奥野信一 敦賀市樫曲7−23
坪田嘉奈弥 敦賀市清水町2−11−10
以 上