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《別紙−1  住民基本台帳法(住基法)30条の40に基づく削除申出の理由》

 「削除を求める内容は、住所、氏名、性別、生年月日、住民票コードである」

第1 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)運用は違法である
(1)「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利・・・立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(憲法13条)とされているところ、本人の意志に関係なく、行政機関が国民一人ひとりに番号をつけてそれぞれの情報を管理することは個人の尊厳を侵害する。

(2)住民基本台帳法は附則1条2項で、「この法律の施行にあたっては、政府は、個人情報の保護に万全を期すため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする」として、政府に法的義務を課している。小渕総理大臣も個人情報保護法の成立が前提である、と国会で答弁している。が、これを怠ったまま、住基ネットを開始したことは違法である。

(3)同法30条の40で「知事は、訂正、削除の申出があったとき、その結果を書面で通知する」とされているが、この際の当該結果の通知は処分ではないと岐阜県はいう。仮に、「処分でないから不服申立ができない」とするなら、保護制度を保証していない同法30条の40の規定は、憲法13条に違反する。

(4)住基法3条1項は市町村長に「常に、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と義務づけている。しかし、県内で個人情報保護条例が整備された市町村は少ない。

(5)首長や地方議会から、住基ネットの運用を批判する意見が多数でている。

(6)03年8月からスタートのICカードは、民間利用を含めて条例で規定すれば自治体ごとに各種の利用が可能となること(30条の43の8項)と、住民票コードの民間利用制限(30条の43)との整合性がない矛盾した制度である。しかもセキュリティ上の不安が拡大するのである。

第2 国等への住民票コード情報の送付は処分である
 市町村長による住民へのコードの付番は処分である(総行市第160号/02年8月9日付総務省自治行政局市町村課長発/各都道府県総務部長宛)。
《別紙−2  住民基本台帳法(住基法)30条の40に基づく削除申出の理由》


 単なる付番が処分であれば、県知事が市町村から送付された住民票コード等の情報を国及び地方自治情報センター(指定情報処理機関/同法第30条の10)(以下、国等という)に通知すること(同法第30条の11)も、単なる送達・送信ではなく処分である。 加えて、同法第30条の40で、知事が開示した本人確認情報に関して、知事が訂正、削除の申出の相手方とされていることからも、県知事の処分というべきである。
 よって、岐阜県は訂正・削除について独自に判断できる。少なくても、市町村と主体的に協議できるのである。

第3 当該処分による権利侵害
 住基ネットは、個人の情報を行政機関において集積し、各種の照会に供され、他方面に利用するという制度である。一方、私は「自分の情報を行政機関が集積し、各種の照会に供し、他方面に利用すること」に同意していない。
 さらに、公務員による漏えいの可能性も少なくない。加えてセキュリティの問題も極めて不安である。
 「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」(憲法11条)のであり、「自由及び幸福追求に対する権利を尊重される」(憲法13条)にもかかわらず、岐阜県によって、いったん国等に私の情報が送付されたら、その時点から、私の権利が侵害されているのである。

第4 岐阜県個人情報保護条例に違反している
 岐阜県知事の私の情報の扱いは、同条例3条(実施機関の責務)、6条(収集の制限)、7条(利用及び提供の制限)、8条(提供先に対する措置の請求)、9条(適正管理)2項に違反している。

第5 申出に対する通知に関して、不服申立ができないとしたら
 同法30条の40での当該通知に不服申立ができないとの解釈にたつなら、訂正の手続きが完結していない制度であるから、岐阜県個人情報保護条例27条4項に従い、同条例18条1項で開示された個人情報にかかるものとしての扱いがなされることとなる。

第6 まとめ
 県知事から開示された本人確認情報に関して、そもそも住基ネットは法令に違反しかつ私の権利を著しく侵害しているから、住基法30条の40に基づいて、私に係る標記の住基ネットの情報を直ちに削除するよう求める。                 以上