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東海環状道関連情報非公開処分取消請求
上告事件 の経過
2004,6,28
くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク
事務局・寺町知正 TEL・FAX 0581−22−4989
・明日29日10時半からの最高裁第三小法廷の判決の事件の概要をお知らせいたします。
・私たちは、岐阜県内の有志が集まる市民団体で、主として岐阜県を相手として、各種活動 をおこない、住民訴訟や非公開取消訴訟なども幾つも行っています。(本人訴訟)
代表はおいていません。
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《第一審判決》 下記のADは非公開を容認。CDは非公開処分取消を命令。
《控訴》99年12月22日付け原告控訴 (県は控訴、附帯控訴せず)
名古屋高裁民事2部 平成12行(行コ)5号
控訴審弁論 3月22日 5月17日 6月21日 7月12日
判決00年9月13日
《控訴の争点》
※−1 A(住民意見書)における個人情報としての性質
※−2 D 環境影響評価専門部会という内部機関に提出された計画当初からの情報の意思形成過程情報該当性(条例7号)と行政運営情報該当性(条例8号)
※−3 訴訟になってからの、非公開理由の追加(意思形成過程情報該当)の可否
《上告審》
00年 9月25日 上告、上告受理申立
12月26日 上告、上告受理申立の理由書提出
03年10月13日 上告受理申立の追加理由書提出
04年 4月 7日付け 上告審の受理決定 弁論期日通知
・・・・・・・・・・・・《原審訴訟の経過》・・・・・・・・
《原告》 寺町知正 外9名
《被告》 岐阜県知事 梶原拓
《文書公開請求日》98年 9月17日付
《非公開決定》 98年12月1日付
《提訴》 99年 3月2日 岐阜地裁(民事一部・平成11(行ウ)5号)
《判決》 99年12月 9日 (10月12日に弁論4回で終結)
《原告の訴訟での請求の趣旨》
被告が98年12月1日付でなした「『東海環状自動車道(西回りルート)に関する公開条例施行から現在までの計画策定に関する資料、国・市町との協議に関する文書、要望書等(都計審及び公告縦覧資料は除く)』のうち、別記に掲げるもの」の文書を公開しないとの処分決定を取り消す。
《都計審の位置付け》 都市計画地方審議会は、都市計画の策定ないし変更に際し、適正手続きの保障の見地から設けられた法定の機関であって、単なる諮問機関にとどまらず、知事は、右審議会による承認の答申を得なければ、都市計画を決定し又は変更することができない。「都市計画が都市の将来の姿を決定するもので、かつ、土地に関する権利に相当な制約を加えるものであるから、各種行政機関と十分な調整を行い、相対立する住民の利害を調整し、さらに、利害関係人の権利、利益を保護することが必要」(建設省)とされ、また、審議会の手続きで、都市計画法第18条2項で住民及び利害関係人から提出された意見書の要旨を都計審に提出することが義務付けられている。
《本件都市計画手続きの概略》 知事は96年3月12日〜26日、東海環状自動車道・西回りルートの都市計画決定の手続きの一環として、ルート案及び環境影響評価準備書を公告縦覧に供した。
そして、知事は都市計画決定権者としての処置方針を付して同年8月23日開催の第126回岐阜県都市計画地方審議会に道路の知事案を諮問し、この際、縦覧期間中に寄せらた住民や学者の意見書の要旨、これに対する知事の見解(対処方針)も提出した。審議会は同日「原案を適当と認める」との答申をなした。なお、審議会は、知事の諮問に先立って県審議会史で初めて、しかも4回もの審議会協議会を開催、道路計画について協議した。また、環境影響評価部会は、本件道路計画の環境影響評価手続きの協議を進めるため、94年3月に都市計画地方審議会内の専門部会として設置され、環境影響評価準備書及び環境影響評価書を練り上げた。
右答申をうけ、知事は、10月4日、都市計画決定した。
《条例が非公開とすることができる場合の判断基準》
情報公開条例は、過去において、行政機関の保有する文書が、行政庁側の種々の名目のもとに、ややもすれば恣意的、濫用的に秘密扱いにされ、住民の知る権利を妨げ、ひいては地方自治の健全な発展を阻害する面のあったことに鑑みそれらの弊害を除去する点をも考慮に入れて制定された。
本件条例は、情報を公開することこそが県民の県政への参加を促し、県政に対する理解と信頼を深めるという考え方にたって制定されたからこそ(第1条)、「実施機関は、公文書の公開を求める権利が十分に尊重されるようこの条例を解釈し、運用するものとする」と規定したのである(第3条前段)から、本件条例は実施機関が管理する情報について公開を原則とし、非公開は例外的に認められるべきことになる。例外規定を行政機関の側の利便等を基準・根拠に、その主観的判断に基づいて緩やかに解釈運用するならば、第1条の目的に反することになるから、例外規定の解釈は厳格かつ制限的でなければ情報公開制度の実質的意味が失われる。
第一審における双方主張、意義など
《非公開文書−@》《県の非公開理由−A》《原告反論−B》《公開の意義と注目点−C》 A=別紙文書目録(一) B=同(二) C=同(三) D=同(四)
A @ 都市計画決定の公告縦覧に係る住民や利害関係人等からの意見書
A−1 岐阜県情報公開条例第6条第1項第1号に該当する(個人情報)
・第三者に公開されることは想定されていない。非公開で初めて自由な意見が担保される ・極めて個人的性格の強い意見も含まれ、場合によっては名誉毀損に該当するものもある ・岐阜県の条例は、プライバシー型でなく、個人識別型である
B−1
・個人が識別される情報でもプライバシー侵害が生じない場合は公開義務は免除されない ・住所・氏名等の個人情報と意見書の中身を、一通ずつの意見書毎に区別して判断すべき ・意見書は、但し書きニの「公開することが公益上必要であるもの」に該当する
・意見の中身等は計画決定に影響を与え得るものであるから、私的文書ではない
・意見書の要旨等は公開されている
・他の住民らから出された意見を知ることは自らの意見を述べるに当たっても重要なことC−1
・様々な情報をひとからげに「プライバシー」としてしまう非公開体質が根底にある
・一般論として、都市計画決定にかかる意見書の「公開の公益性」をどう評価するか
・住民と行政に紛争が大きい東海環状西回りルートにどんな意見が出されていたのか
A−2 岐阜県情報公開条例第6条第1項第8号に該当する(狭義の行政運営情報)
・提出者本人の意見書が公開されるとの心理的な圧力を与え、将来の事務事業の公正かつ 円滑な執行に著しい支障が生じるおそれがある
B−2
・「著しい支障が生ずるおそれがある」ことが立証できていない。即ち、おそれはない
・「将来の事務事業」等についても、何ら特定性がない。非公開事由の拡大解釈である
C−2
・「住民意見書」が行政の事業を行うのための内部情報といえるのか
B@審議会に出された都市計画決定権者としての意見書に対する知事の見解(処置方針)
C@協議会に出された都市計画決定権者としての意見書に対する知事の見解(処置方針)
A−1 岐阜県情報公開条例第6条第1項第8号に該当する(狭義の行政運営情報)
・将来の同種の事務事業の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがある
・生の資料公開(本件)と実質上の公開(既公開文書)では、委員への心理的圧力や影響度は異なる
B−1
・知事の見解や処置方針は、修正途中の文書であっても、支障が生ずるおそれはない
・議案書や議事録など他の文書は既に公開済。知事の見解だけ非公開とすべき理由はない
C−1
・知事の見解、方針が公開できないとは余程「県民に知られてまずい」ものだったのか?
A−2 岐阜県情報公開条例第6条第1項第7号に該当する(意思形成過程情報)
・訴訟の中で、この7号も非公開とした理由のひとつとして追加して主張する
・協議会は自由な議論を担保するため、議事録も取らない方針で、公開になじまない
・意思形成途上の案は、最終決定と違い、県民に誤解を与え、無用な混乱を起こす
・原告らの一部は別途、都市計画決定取消訴訟、経費返還住民訴訟をおこしている
B−2
・非公開処分に当たっては理由明示が定められている。訴訟での理由の追加は許されない ・重大な責務をもつ委員に心理的圧力があっても当然
・支障が軽微な場合や意思形成が終了した場合は公開すべき、とされている。
C−2
・大規模事業、公共事業の意思形成(決定)過程の透明性が格段に高まることは他への影 響極めて大
・非公開理由の追加が訴訟で許されるのか、許されないのか
D@環境影響評価専門部会の調査・審議で修正された環境影響評価準備書、評価書の
成案前のもの
A−1 岐阜県情報公開条例第6条第1項第8号に該当する(狭義の行政運営情報)
・将来の同種の事務事業の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるため
B−1
・環境影響評価準備書及び環境影響評価書は、「成案前のもの」も「成案」もほとんど同 じであって、これらが公開されたからとて、支障は生じない。
・その他、審議会、協議会の場合と同様に、環境影響評価部会関連の文書公開も支障ないC−1
・貴重、希少な動植物、絶滅危惧種が途中で発見されて、事業計画の変更、修正などの影 響がでる事があるなど、環境アセスメントの意義と重要性が高まっている。その作成経 過、特に準備書の成案前のものが公開されることの意義は極めて大きい
A−2 岐阜県情報公開条例第6条第1項第7号に該当する(意思形成過程情報)
B−2 C−2 ・・・・・Cに同じ
《2004年4月7日付け最高裁決定を受けての意義》
本件の計画は、住民全体に影響する重大な問題だから、その都市計画決定に当たって審議会、部会や行政がどのように審議し、どういう経過があったのかが明らかになることの意味は極めて大きい。将来的にもいろいろな意味で重大なことである。
4月7日付け最高裁決定では、意見書の非公開は是認された。
明日の判決では、
・審議会など諸会議及び準備書や評価書の途中段階の情報を公開すること
・自由な議論のため、とか、心理的圧力があると困る、など行政の甘えとも取れる姿勢 ・行政は少しでも支障があると非公開というが、支障があっても、軽微な場合の判断
これらについての判断がなされるものと考えています。
以 上