監査請求 ・住民訴訟とは
行政(地方自治体)や議会に対して住民の声を伝えるには、要望 書を提出したり、請願・陳情したりなど、いろいろな方法がありま す。個人や団体で署名を集めたりなどもします。しかし、それらが、 効果的に反映する場合も、そうでない場合もあります。これらの通 常の手法に、最近各地で新しく取り入れられているのが @住民投 票条例制定請求やリコールなどの「直接請求」と A「住民監査請 求」や「住民訴訟」です。
要望書などは、実質的に無視されたり放置されることが少なくあ りません。しかし、法的に定められた「監査請求」は、必ず、調査・ 審議され、答えが出されます。しかも上級庁等に報告され、マスコミに載ることが多いので、いやでも、改めざるを得ないのです。
法定手続きで住民に指摘され、監査委員に調査され、時には裁判の被告にされてしまう、というのは、公務員(役人)にとっては、大変なショックです。監査結果、訴訟の勝敗にかかわらず、当事者はもちろん周辺の部所にも、反省を促す効果は十二分にあります。
県政に対する住民運動を目的の一つにしている私たちの県民ネッ トワークは、今、積極的に監査請求を行っています。私たちの一番 狙いは、役人をいじめることではなく、そのショックが、県職員や市町村長・職員まで波及することにより、住民の声が反映する、風通しの良い行政システム実現することです。そのための市民的 手法として、「監査請求」を意識的に使っています。私たちが払っている貴重な税金がいいかげん使われてはたまらない、と一般の人にも非常に分かりやすいことです。
あなたも是非、監査請求、住民訴訟をやってみてください。
県民ネットでは、直接関わる問題は、弁護士の方に相談にのっていただきつつ、原告本人が訴訟を進めていく 本人訴訟というやり方をしています。あなたも、御自身でやってみてください。
原告は多い方が、より面白い。この際、選定当事者 といって、一部の者が代表とし出席すればよい、という手続きがあります。
このページに掲載する、住民監査請求や住民訴訟、行政処分の取消訴訟の書面は、専門家から見れば、不十分なところがたくさん有るのでしょうが、素人が住民としての権利を行使していくことに役立てば、と考えています。事実関係や言葉などを置き換えれば、いけると思われたら、かまわずに、転用してください。
◆誰が、どうして
住民は「監査請求」を通して、主権者として、行政の予算の執行・ 運営を監視し、監督することができます。違法な支出は、“返還すべき”と認められたら、訴えた住民でなく、その自治体の金庫へ返 されます。
「監査請求」は、短期間で済み、請求した住民には何の費用も要りません。
「監査請求」はその自治体の住民であれば、誰でも、一人からできるのが大きな特徴です。最も重要なことは、たとえ住民が負けても、訴えは改善されることが多く、効果抜群です。
◆何についてできるか
◇公金の支出や予算の執行を伴う、違法で不当な行為を対象にで
きます。(接待費、無駄遣い、請負契約、売買契約などが典型)
◇広域行政の「一部事務組合」や、水道始業など公営企業も対象。
◆まず、監査請求書を出す
@ 「住民監査請求書」(02年3月の地方自治法改正で、同年9月1日より、従来の千字以内の制限がなくなりました)で、指摘したいことを述べ、
A 支出を証明するもの=証拠(支出の記録、新聞記事など)を付 けて監査委員宛に提出。一番許せないことをポイントにする。情報公開や議員から入手する関係書類は最も確実です。
B 原則として、その支出行為のあった日から一年以内。但し秘密になされた場合や談合等の不法行為が前提にあるときは、期間り制限はありません。
C 求める措置については、「知事(市町村長)ないし全ての支出手続担当者は、違法な公金支出を行った」「損害回復の措置を怠っている」と漠然とトップらを指定しておくことがよい。後日、陳述の場が設定される(出来る限り陳述したほうがよい)。
D 請求が出されると監査委員は、関係者を呼んで事情を確認し、書類を調査し、請求の事実があったか、指摘の内容が間違っていな いか、違法、不当な行為と認定するのか、などを審査します。
E そして60日以内に、監査結果が、請求人に文書で通知されてき ます。
◆考えられる“結果”
・「返還せよ」「契約や支出をやめよ」
・「すでに○○については返還済みである」
・監査委員から首長に対する「要望」
・「請求は却下」(=中身の審理はしない)
・「請求は棄却」(=審理したが、問題なし)
◆住民訴訟を起こす
F 監査結果が納得できなければ、通知を受け取ってから30日以内 に裁判所に訴状を出すことができます。意志がある時は早めに準備 しておく(原告は監査請求をした人に限定される)。
費用は、印紙代8200,円と切手代約9000円。
弁護士を立てない本人訴訟なら、たったこれだけの費用で済みます。後は、あなたの情報収集と資料整理、論理づけで進みます。
楽しみながらやっていきましょう。
※私たち、県民ネットワークは、運営委員10人が原告になることが多いのですがですが、そのうち2名が「選定当事者」(原告の委任を受けて、原告の代表として、て訴訟を進ることができる)という制度を利用して、本人訴訟でやっています。
◆違法とされた裁判例 これをヒントに、楽しい発想で仕上げを!
・ 公費出張した他官庁の職員を夜に接待、宿泊費まで支出したのは違法
・土地を時価の1/3で売却、議会議決がないのは工場誘致の利益を考慮しても違法
・議員の研修図書購入費は、交付する合理的理由もなく、使途も不明で違法
・特定民間企業の排水を処理する施設建設への補助金は「公益性がない」ので違法
・農協の役員選出のみの目的で設立された協議会への補助金は公益上必要がなく違法
・神社参道を公金で舗装するのは、政教分離の原則に反し違法
・たばこ販売により町の財源が確保できるとして販売業者に交付する補助金は違法
・財産の条例も議決もない貸付は無効 ・・・・・・・・・・・・・・
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