随意契約の抑制を求める要望書


      2000年7月13日
岐阜県知事 梶原 拓 様
くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク
   事務局 寺町知正
(岐阜県山県郡高富町西深瀬208)

 自治体が様々な新規事業を計画立案するに当たっては、コンサルタント等に委託することがよく見受けられます。この際に、岐阜県においては、入札によらず、随意契約(以下、「随契」という)によって業者に委託することが多過ぎると、私たちは懸念してきました。
 自治体における企画関係の事業は、その自治体の将来の方向を示す意味でも特に重要で、その自治体の「横顔」ともいわれます。そこで、私たちは、過去5年間(95〜99年度)の岐阜県及び愛知県の本庁の企画関係の部署に関して「計画立案のために外部委託した契約書」等を入手し、整理・比較してみました。
 集計して、大変驚きました。集計結果は、岐阜県分、愛知県分、両県の入札の結果として別紙に分けてに示しますが、下表にまとまります。

                 岐阜県(千円)    愛知県(千円)
総合計  
   
件数  合計金額 36件 221021 24件 98260
   一件平均額     6139      4094
うち入札分
     
     
     
件数  合計金額 1件   3150 14件 67021
    うち最高        ―        9450
    うち最低        ―        1050
   一件平均額        ―        4787
うち随契分
     
     
     
件数  合計金額 35件 217871 10件 31239
    うち最高      18000      6000
    うち最低       2257      1360
   一件平均額       6225      3124
         (契約額100万円以上分・他の自治体への委託分は除く)

 その要点は次のようです。


・岐阜県においては合計36件約2億2千万円の契約がなされ、うち入札はたった1件で、315万円。随契35件のうち、最高は1800万円で、他に1000万円が5件もある(首都機能移転関連2件・東海環状道関連2件)。
 一件当たりの平均額は622万5千円であった。


・愛知県においては合計24件約1億円の契約がなされ、うち入札は14件で、最高 は945万円、一件当たりの平均額は478万7千円。随契は10件で、最高は600万円、一件当たりの平均額は312万4千円。


・随契の一件当たりの平均価格は、岐阜県は愛知県の倍の額にもなっている。愛知県のように入札に付していれば、半額程度で契約できたと十分に類推できる。

・岐阜県は、例えばM社一社で少なくても5件/約5000万円程度かそれ以上の契約であるなど、特定事業者に偏っていることが強くうかがえる。

・高額な事業は入札にするという一般原則が岐阜県では全く無視されている。

・県会計規則第141条「随契の場合2社以上から見積書を聴取」に違反している。
 相手方の言いなりの価格になる、と考えざるを得ない。

 計画立案に関して、愛知県の入札に参加した業者が多数あるにもかかわらず、岐阜県は、ほぼ全ての事業を随契しています。岐阜県が随契とする理由は、地方自治法施行令第167条の2の二号に定める「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当する、とのことのようです。

 しかし、同クラスの自治体の同種の事務事業に関して、隣接自治体の間に違う事情が存在するとは到底考えられませんらか、岐阜県の場合は、法施行令第167条の2に定める「入札を行わず随意契約することができる場合」の規定に抵触している可能性が高いと言わざるを得ません。
岐阜県が自ら定めた会計規則各条項の外、「指名競争入札及び随意契約に関する規定の解釈について(昭和57/10/1管理第96号)」を無視しているばかりか、「物品の購入に関する事務処理手続きの改善について(昭和52/7/19出第259号)」とそれを改善した「契約審査会の設置について(平成10/4/1出第4号)」も全く機能していないと言わざるを得ません。
 明らかに、岐阜県においては、外部委託の必要性の有無の検討がなされていないと言わざるを得ません。「なにもかも外部委託」ではなく、優秀な県職員の立案を生かし、伸ばすことは県の「今」のためにだけでなく、中長期的観点も重要なことです。
 これらは、事業者の問題でなく、委託する自治体側の問題です。調査結果に明らかなように、安易で高額な随契による県民の損害ははかり知れません。

 以上のことから、私たちは、@適切であるべき計画が恣意的になるおそれがあること、A税金の効率的な使い方として極めて不適切であること、B法令等に抵触することを強く懸念いたします。

 よってここに、岐阜県が外部委託を慎重にするとともに、どうしても委託の必要がある場合においては、随意契約とする方針を改め、入札を基本とする原則に立ち返って、適正かつ公正で透明性の高い行政運営に速やかに移行されるよう要望いたします。
以 上

 なお、以上の他、詳細は、明日14日より、当会のHP(http://gifu.kenmin.net)にて、ご案内いたします。


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