納税貯蓄連合会補助金返還住民監査請求
一 請求の要旨
1 納税貯蓄組合法(以下、法)により納税貯蓄組合(以下、組合)及びその連合体(以下、連合会)が認められていることから、岐阜県は九五〜九九年度、連合会九団体に合計九一七万円の補助金を交付した。
2 県連合会補助金交付要綱は、法定の事務等、即ち「組合の指導及び育成に関する事務、組合の連絡及び調整に関する事務その他組合の健全な発達を図るため必要な事務に要する経費」に対し、補助金を交付するとしている。しかし、補助金の額決定方法は、法及び要綱に違反している。
3 一方、市町村は、口座振替納税の普及、プライバシー保護等、法の制定当時とは全く変遷した納税環境が生じていることから、補助制度を廃止しているところが多い。県の統計によれば、岐阜県内の組合は、九五年度の「二八市町村」から更に減少して、九九年度「一三市町村」と極めて少ない。しかし、連合会報告では、どの年も「八九市町村」に組合が存在する、としている。
連合会は、既に存在しない組合や組合長の名簿を報告しており、当該自治体の人口より多い組合員数、所帯数より多い組合員数を計上している場合すらある。
4 連合会の実際の活動、「振替納税の推進活動、組合に関係ない記事ばかりの納貯連だよりを作りしかもこれを全戸配布、確定申告書封入を受託、消費税完納PR、連合会の上部組織の維持のための活動などであり、法定外の活動を大々的に行っている。
5 「県連合会は協栄生命岐阜支社」、「東濃西部連合会は協栄生命保険多治見支部内で、連絡先は多治見税務署」、連合会の重点活動には「納貯共済の推進」「ニコニコ共済保険加入者拡大」がある等、民間特定保険会社の個人の生命保険の獲得母体となってきた。また、金融機関を賛助会員として、高 額の会費を徴収している。
6 県は、旧要綱においては数十年前の実績を根拠にする、組合数を誤ったままに認定し補助金を確定する、新要綱においては組合の存在しない市町村まで補助対象の市町村にカウントするなどして、補助金を交付した。
7 国(税務署)は、実質的に連合会の事務を担い、「謝金」を支出し、保険会社と結び、連合会をして、本件補助金を目的外に使用させ、加えて、名称使用違反を助長してきた。
8 連合会は、毎年、偽って実績報告し、補助金を不正に得てきた。誰が何の目的でバスで施設に行ったかは疑問が残る。
9 自動車販売業界や保険会社との癒着である。
10 以上、九五〜九九年度の本件補助金は、法及び要綱に違反し、不要で県の損害であるから、知事ら関係者に金九二八万七千円の全額の返還を勧告することを求める。
二 請求者 別紙 くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク
寺町知正 他一〇名
以上、地方自治法第二四二条第一項により、事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
二〇〇〇年五月一五日 岐阜県監査委員 各位
別紙事実証明書目録
第一号証 九八年度連合会の決算報告(九八年の岐阜南、中濃、飛騨連合会)
第二号証の一 九八年度連合会の事業報告(九八年の大垣連合会)
の二 連合会関係者がバスでの施設や名所の視察など行っている(九八年岐阜南連合会)
の三 同(九九年、九八年の東濃西部連合会)
の四 県税事務所の履行確認済みのサイン(九九年の岐阜北連合会)(どこも同じ)
第三号証の一 岐阜県市町村課が市町村から聴取して作成する統計の記入説明書
の二 記入用紙(九九年と九五年の大垣連合会)
の三 記入用紙(九九年と九五年の東濃西部連合会)
第四号証 右市町村報告の集計と、連合会の提出する実績報告の組合現況の集計
第五号証の一 連合会の提出する実績報告のうちの組合現況書(九八年の東濃西部連合会)
の二 同(九八年の大垣連合会)
第六号証 連合会や税推協などの広報紙の最たるものである「納貯だより」
第七号証 実績報告のうちの基本方針・重点目標(九九年の飛騨連合会)
第八号証の一 補助金申請書。「連合会の所在地が協栄生命保険会社多治見支部内にあり、しかも、連絡先は多治見税務署」(九五年の東濃西部連合会)
の二 同県連合会分。所在地は協栄生命保険岐阜支社。電話番号も。(九九年の岐阜北連合会)
の三 事業報告。連合会総会に、協栄関係者が公式に参加している」(九五年の飛騨連合会)
第九号証の一 自動車販売納税貯蓄組合の実績報告の事業予定
の二 同構成組合名簿
第一〇号証の一 市町村からも、住民所帯割で補助金を取得する割当表。(九五年の岐阜北連合会)
の二 同(九五年の岐阜南連合会)
の三 推進協議会が県レベル、地域でレベルでできている模様。
第一一号証 各連合会に関する集計表(九八年度分)
以 上
住民監査請求 補充書
二〇〇〇年五月一五日
岐阜県は、九五〜九九年度、県内納税貯蓄連合会九団体に合計九一七万円の補助金を交付したが、以下に述べるように違法で、県の損害であるので、返還を求める。
第一 納税貯蓄組合
納税貯蓄組合(以下、組合という)とは、「納税資金の貯蓄を目的として組織される組合及びその連合体について必要な規制を設けるとともに助成の措置を構ずることにより、その健全な発達を図り、もって租税の容易且つ確実な納付に資せしめることを目的とする」(納税貯蓄組合法(以下、法という)第一条)とされ、「法は、もとより、組合の健全な発達を通じて、租税の納付を容易且つ確実ならしめ、あわせて徴税の確保をはかることをその目的とするものである。国税と地方税の納税資金の貯蓄を目的として設立されるものである」(※1)とされているとおり、組合は、国、県、市町村の税金の納付に際して、納税予定者が事前に貯蓄を行なう等、納付を確実にする目的で任意に団体を構成するものである。
第二 納税貯蓄組合連合会
納税貯蓄組合連合会(以下、連合会という)とは、組合の連合体(その連合体を含む。)で、「会員の指導及び育成に関する事務、会員の行う事務についての連絡及び調整に関する事務その他組合の健全な発達を図るため必要な事務を行うことを目的とする。」(法第一〇条の二)とされている。
組合(含む連合会)でない者が、組合又はこれに類似する名称を用いることはできない(法第一二条)とされるなど特権的かつ特殊な位置付けの団体であり、かつ納税に関する制度であるからとりわけ諸規定は厳格に適用されなければならない。
具体的な規制については、「連合会には、組合に対する規制と助成の措置を準用することとされた(法一第〇条の二)。規制の措置としては、連合会への加入及び連合会からの脱退の自由、会員に対する監督の排除の規定(法第一〇条の二による第三条の準用)並びに課税関与の禁止の規定(法第一〇条の二による第七条の準用)がある。これらの規定に違反したものは、五万円以下の過料に処せられる(法第一〇四条の一号)。なお、連合会に対する質問の規定(法第一〇一条二項)も設けられた。この質問に答弁せず、または虚偽の答弁をした者は、五万円以下の過料に処せられる(法第一〇四条二号)」(※2)とされている。
第三 組合補助金
組合への補助金については、「国又は地方公共団体は、組合に対し、組合の事務に必要な使用人の給料、帳簿書類の購入費、事務所の使用料その他欠くことができない事務費を補うため、予算の範囲内において、補助金を交付することができる。補助金の合計額は、組合が使用した当該費用の金額を越えてはならない」(法第一〇条一項)とされている。
右規定は連合会には直接は適用されないものの、「実際の補助金の交付にあたっては、連合会の活動状況等を充分に検討のうえ、特に慎重に取り扱われたい。」(※2)とされている。
第四 国と地方自治体の連携
組合や連合会に関する国と地方自治体の関係について「関係地方公共団体相互の緊密な協力は、組合の設立及び解散の手続においてのみならず、補助金の交付手続その他組合の育成助長の見地から、絶対に欠くべからざるものである。(略)(行政庁は)組合の規約の変更その他の監督をすることはできない」(※1)とされている。
また、「補助金交付にあたっては、国と地方公共団体又は都道府県と市町村との間において十分連絡調整し、特に補助金交付の基礎となる組合の使用した事務費については、同一の方針により計算すべきである。」(※3)とされている。
第五 県補助金要綱等
一 岐阜県の「連合会補助金交付要綱(九八年改正施行分)」(以下、新要綱という)は、第一条《総則》「県は、法第二条第一項に規定する組合の健全な発達を図るため、同法第一〇条の二の規定により連合会が行う事務に要する経費に対し、補助金を交付する」とし、第三条《補助対象事業等》第一項において「補助事業は、組合の指導及び育成に関する事務、組合の行う事務についての連絡及び調整に関する事務その他組合の健全な発達を図るため必要な事務」とされ、第二項において「補助金の対象となる経費は、補助事業を行うために要する経費とする」、第三項において「補助対象経費に対して交付する補助金の額は『一の連合会は三一万円』『二〜八までの連合会は、【ア 実績割】【イ 均等割】【ウ それぞれの連合会に管轄する市町村に対応する額の合計額】』『九の連合会は一三万円』」としている。
二 同「連合会補助金交付要綱(八四年施行・八八年改正施行分)」(以下、旧要綱という)は、第三条第三項「補助対象経費に対して交付する補助金の額は『一の連合会は三一万円』『二〜八までの連合会は、【ア 実績割】【イ 均等割】【ウ 組合数割】【エ 組合員数割】』『九の連合会は一三万円』」としている。
三 また、岐阜県補助金等交付規則第一〇七条は「交付決定の取消し等」を、規則第一〇八条は「返還命令」を規定している。
四 地方自治体は、補助金を交付するに当たっては、条例、規則、要綱などを定めている。しかし、近年、口座振替納税の普及、プライバシー保護、納付通知書や領収書の個人への直接送付の実施等、法の制定当時とは全く変遷した納税環境が生じていることから、補助制度を廃止する自治体が多く、市町村は当該補助金要綱等を順次廃止してきた。
第六 連合会の活動内容と収支
九八年度連合会の決算報告(甲第一号証)の概要からみると、収入の主なものは、「国からの謝金、補助金、金融機関賛助金、確定申告書封入手数料、保険手数料、広告料等の収入総合計約三〇〇〜七〇〇万円」。
支出の主なものは「補助対象事業は、二七〇〜六八〇万円で、会議費、会報発行費、振替納税普及費、金融機関との打合せ費、上部団体協調費、封入作業費、慶弔費、公租公課、記念事業積立金、事務局積立金等」である。
支報告や事業報告(甲第二号証)を見る限り、法に定めた活動(法第一〇条の二)とは、到底いえない。
第七 組合の実態
一 岐阜県内の組合は、国の求めに応じて岐阜県市町村課が毎年七月に県内全ての市町村から聴取している統計によって明らかとなっている。これは、当年七月一日現在の市町村税を対象とする《法で規定される組合》と《法に基づかないで設立されたもの(組合以外の組織を含む。)》を市町村が報告するものであり、毎年度の組合の存在(補助金交付いかんに関わらない)正確な実態を表している(甲第三号証)(。これによれば、岐阜県内の組合は、極めて少ない。組合が存在する市町村数は、右市町村報告によれば九五年度「二八市町村」、九六年度「二八市町村」、九七年度「一七市町村」、九八年度「一六市町」、九九年度「一六市町村」であるところ、連合会報告では、どの年も「八九市町村」に組合が存在する、とされている甲第四号証)。
どの連合会も、既に存在しない組合や組合長の名簿を報告していのである(甲第五号証)。
さらに、岐阜北連合会(但し、組合数はいい加減)を除いて、どの連合会も管内の全ての市町村に組合が存在すると、報告している。
当該自治体の人口より多い組合員数を計上しているところ(山岡町)、所帯数より多い組合員数を計上している(恵那、洞戸、上之保、明宝、白川、東白川、坂下、付知、岩村、明智、金山、丹生川、河合、宮川、上宝等)ところもある。
首長が組合長となっているところ十数町村もある。
二 また、幾つかの市町村に確認したところ、市町村関係者は組合は存在しない、といっている。
第八 本件補助金要綱自体の違法
一 新要綱第三条三項【ア 実績割】において「連合会に対する国からの謝金の額に応ずる」としているが、国の謝金は連合会の「連合会や税推協などの広報紙における税務署(国税局)の記事(納税貯蓄組合等に関する記述はない)のスペースに対する印刷実費」として連合会に事務的に支払われるもの(甲第六号証)であり、同【イ 均等割】は組合の有無を前提としていないし、同【ウ 市町村割】において、組合の有無及び組合員数によらず「連合会の管轄する市町村の数」及び「市町村の人口別」で額を区分し算定している。
二 また、旧要綱の第三条三項【ア 実績割】は「昭和四八年に連合会が管内の組合に交付した補助金の額」を根拠としており、同【イ 均等割】は組合の有無を前提としていない。
三 補助金の設定方法はいずれも、法が定めた連合会の目的に拠らず、要綱第一条、三条一、二項が定めた趣旨及び目的そして「事務費」としてのものではない。
よって、連合会の会員(組合)の存在及びそのために必要な事務の前提無しに交付する額を定めることとした要綱は、法に違反し、具体的な額の決定方法は要綱に違反している。
第九 本件支出の実体的違法
一 連合会の活動は、大部分が法定の設立趣旨、目的に反している(甲第二号証、甲第七号証 基本方針・重点目標)。実体的に法に定める活動をほんの僅かしか行わず、他の活動を大々的に行っているのに「納税貯蓄組合連合会」の名称を使用しているのは名称使用制限(法第一二条)に違反している。
二 連合会は、振替納税の推進活動を行っているが、口座振替は「納税のために組織的意図で貯蓄する」という理念を根本から否定するものであるから、そもそも、組合及び連合会の設立趣旨目的に反する業務である。
三 納貯連だより等の連合会広報紙の内容は組合に何ら関係なく(甲第六号証)、しかもこれを全戸に配布するなどしていることは連合会の業務ではない。
四 連合会が確定申告書を発送し、しかも、連合会は国からの封入手数料を約半分ピンハネしている。
税務署と金融機関と組合役員との打ち合わせ会、消費税完納PRなど、連合会が組合員外を対象とした内容、目的で諸活動を行っているが、これらは本来の国や自治体が通常に行う納税、徴税のPRとして行うべきことで、連合会の事務ではない。
五 活動や支出の多くが、「連合会」や「連合会の連合会」の全国の中央段階の会合、東海地区の連合会の会合、県内の連合会会合などであり、大会の受け持ちなどのために積み立てをする等、連合会の上部組織の維持のための活動及び経費使途である。
六 生命保険会社と税務署の癒着である。
各地の連合会は、東濃西部連合会において「連合会の所在地が協栄生命保険会社多治見支部内にあり、しかも、連絡先が九八年まで多治見税務署におかれている(甲第八号証の一)」ことに象徴的であるように、さらに「県連合会の所在地が協栄生命ビルにおかれている。電話番号も支社そのままである。(甲第八号証の二)」こと、連合会の重点活動に「納貯共済の推進」「保険推進活動」等の明示がある(甲第七号証)こと、過去に「連合会総会に協栄関係者が公式に参加している(甲第八号証の三)」などの事実からも明らかなように、民間特定保険会社(主として協栄生命、一部は大同生命)の「にこにこ共済」という個人の生命保険の推進母体となってきたものである(甲第七号証)。
連合会に聞くと、「うちは保険をやっているだけで、連合会の会計は税務署が全部やっていて、活動や収支の報告はできあがった書類をもらうだけだから、何も分からない」とのことであった。
七 納付に当たって、団体あるいは個人は、自由に金融機関を選択できるところ、金融機関を賛助会員として、管内一支店当たり一万円・年額と一律に会費を集めていることは明らか法を逸脱し、さらにこれを連合会の広報紙で広告・通知する(甲第六号証)ことは強制とも言わざるを得ない。
八 自動車販売業界だけに連合会を認めているは、業界との癒着といわざるを得ない(甲第九号証)。
第一〇 関係機関等の責任
一 岐阜県
県は、法に反して要綱を制定した。さらに補助金の確定に当たって要綱第一、三条が組合の存在を前提としているところ、旧要綱においては数十年前の実績を根拠にする、組合数を誤ったままに認定し補助金を確定する、また、新要綱においては組合の存在しない市町村まで補助対象の市町村にカウントするなどして、補助金を交付したことは、法第一〇条の二、新旧要綱三条に違反している。
二 県税事務所、自動車税事務所
これら、出先機関は組合が存在せずあるいは連合会の活動内容の多くが「事務費の範囲」とした法や要綱を逸脱していること等を承知のままで、補助金を交付してきた。法第一〇条の二、要綱に違反する。
三 国(税務署)
法が組合を限定しているところ、組合がない、あるいはわずかにしかないにもかかわらず、国がそれぞれの連合会に多数の会員(組合)があるがごときに「謝金」を支出していることは、法の第一、二、一〇条に違反する。さらに、謝金が補助金であれば、補助金適正化法に違反する。
税務署は、法を所管し地方公共団体を指導する立場でありながら、実質的に連合会の事務を担い、連合会が長年来形骸化しているにもかかわらず、わずかな組合やその役員・組合員をして国民全般、地域社会全体の税の徴収を促進させようと、保険会社と結び、連合会をして、本件補助金を目的外に使用させ、加えて、名称使用違反を助長してきた。
税務署はこのように、連合会を法の趣旨を逸脱する方向に利用してきた。
また、青色申告会や法人会等との混同、税務推進協議会等(市町村は、この協議会に税務資料の発送を委託している)との混同も助長してきた。
四 連合会
連合会は、会員(組合)の指導育成、連絡調整を法定の業務するから単位組合の存在が前提であるところ、それぞれの連合会は、管内に多数の組合が存在するかのように、毎年毎年、偽って実績報告し、補助金を不正に得てきた。
さらに、組合の事務に相当する活動を行なわず、一方、金融機関から賛助金を集め、民間の広告を掲載するなど、法に定められた趣旨目的を達するため以外の業務を多種、広範に行い、これを連合会の正当な活動とてし補助申請してきた。法第一〇条の二、要綱三条に違反する行為である。
また、財源、事業からみても、名称使用制限に違反しているのは明らかである。
加えて、市町村からも組合及び組合員の有無によらず、住民所帯割で補助金を取得してきた。(甲第一〇号証)。
管内に会員(組合)がないにもかかわらず、連合会役員、婦人部、青年部等をつくり、バスでの施設や名所の視察など行っている(甲第二号証の二)が、目的及び主旨は不自然で、それによる効果も不明であり、疑問が残る。
五 民間会社
協栄生命保険関係者らは、右の事実を承知しながら、「にこにこ生命保険」の顧客を確保し続けるために、徴税に関する制度を自らの利益の為に利用し、連合会や税務署との不当な関係を継続してきた。
全国一律の問題でもある。このような行政と民間の癒着構造は社会通念上も許されない。
第一一 本件支出実態は秘匿されてきた
本件請求人らが、二月二一日以降岐阜県に公文書の公開を岐阜県に求め、四月二一日までに公開された約一七〇〇ページに及ぶ資料の分析から、実際に存在しない組合が存在するものとして報告され、これを前提に補助金が支出されてきたこと、連合会や税務署が協栄生命(や「にこにこ保険」)と不可分の存在であること、大多数の活動が法の本旨を外れた目的外であること等が、明らかになった。虚偽報告は当然に秘密裏になされているから、通常の市民がこれら支出の実態を知ることは、到底不可能である。右確認された違法な支出について、請求者らは、資料の入手の後の速やかな期間に住民監査請求するものであるから、九八年度以前の請求分についても正当な理由があるものである。
第一二 組合と納税組合の混同は許されない。
市町村には、未だに納税組合がある自治体が幾つかある。しかし、行政実例(※4)において、
『 問 住民が自発的に納税組合を組織し、組合員が相互の納税の便を図っている場合に、この場合に対し市町村費から補助金(又は奨励金)を支出することは地方自治法第二三一条に該当するものと解されるか。
答 住民が自発的に組織する納税組合に対し補助金(又は奨励金)を交付することは直接地方自治法第二三一条の規定に違反するものとされているものではない。』
とされているとおり、市町村が独自に実施する納税組合については、地方自治法の範疇であって、当然に法の対象とはなり得ないものである。よって、これに対する組合補助金は許されないから、納税組合を組合と見なすような見解は、明らかに法令に違反するものである。
第一三 故意・過失
組合の育成や補助については、国と地方自治体との間の連携が密になされている(※1、2)から、国や県は、市町村段階での組合の実態を十分承知していた。
また、この数年来、組合の問題が指摘され、判決や和解がなされる、さらに市町村において制度を取りやめる等が、明らかにされており、税務担当者はこれを十分に認識している。
さらに、自動車販売連合会は、九九年度分から補助金を辞退している。
しかし、関係者らは、これらを顧みないばかりか、相変わらず虚偽報告をなし、あるいはこれを黙認し続けたことの責任は重大である。
以 上
《引用通達》
※1 「法及び同法施行に関する命令の実施についての通達」(昭和二六・五・七地財税第九〇九号各都道府県知事あて地方財政委員会事務局長通達・改正三九年九月二八日自治府第九五号)
※2 「組合法及び同法施行令の改正について」(昭三九・九・二八自治府第95号各都道府県知事あて自治事務次官通達
※3 「組合法施行令の一部を改正する政令の施行について」(昭四一・八・六自治府第八六号各道府県総務部長、東京都主税、総務局長あて自治省税務局長通達
※4 「納税奨励金について」(昭二六・二・一二地財委税第八二号長野県総務部長あて地方財政委員会事務局市長村税課長回答
以 上
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